少子高齢化が加速する日本。出生数が70万人を割り込む可能性も報じられ、人口減少は社会全体の大きな課題となっています。中でも、建設業界は就業者不足という深刻な問題に直面しています。このままでは、業界の未来はどうなるのでしょうか？本記事では、建設業界の人口減少問題とその対策について、分かりやすく解説します。
人口減少が建設業界に及ぼす影響
労働力不足の深刻化
建設業界は、以前から人手不足が課題とされてきました。少子化の影響で若い世代が減少する中、業界の魅力向上や労働環境の改善が急務となっています。もし現状のまま推移すれば、受注しても人手が足りず、事業継続が困難になる可能性も懸念されます。国内マーケットの縮小も大きな問題ですが、それ以前に労働力不足が業界の存続を脅かす深刻なリスクになりかねません。
国土交通省の将来推計と課題
国土交通省は、建設業の就業者数に関する将来推計を発表しています。コロナ禍前の2018年度時点で、すでに前年度比で約2万人減少しているという厳しい現実が明らかになりました。さらに、2024年度からの改正労働基準法適用により、時間外労働の上限規制も考慮しなければなりません。
建築投資が2017年度と同水準だと仮定した場合、製造業を下回る労働時間（5年で5％減少）を実現するには、新たに16万人の人材が必要とされています。外国人労働者数は約3万人減少すると試算されており、2023年度までに合計約21万人を確保する必要があるという試算です。
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しかし、新規学卒者だけでこの数を補うのは不可能です。2021年10月1日時点の20歳男性人口は約60万人、女性を含めても約117万人。他の業界との人材獲得競争も激化する中、建設業界だけで20歳人口の約3分の1を確保するのは現実的ではありません。
解決策への模索
生産性向上による効率化
国土交通省は、建設現場の生産性を年間1％向上させることで、16万人分の人手を確保したのと同じ効果が得られると提言しています。点検の効率化、データの活用、新技術や新材料の導入など、様々な取り組みが求められます。建設業界アナリストの山田一郎氏（仮名）は、「生産性向上は人手不足解消の鍵となる。DX推進やICT技術の活用による業務効率化は、業界全体の底上げに繋がるだろう」と述べています。
新規学卒者と外国人労働者の活用
生産性向上に加え、新規学卒者の採用拡大と外国人労働者の受け入れも重要な対策です。国土交通省は、新規学卒者を1万5000人採用し、不足分を約3万5000人の外国人労働者で補うという案を示しています。外国人労働者の受け入れに関しては、適切な労働環境の整備や日本語教育の支援など、多文化共生に向けた取り組みが不可欠です。
建設業界の未来に向けて
人口減少は避けられない現実ですが、その影響を最小限に抑え、持続可能な業界の未来を築くためには、積極的な対策が必要です。生産性向上、人材育成、技術革新など、様々な角度からのアプローチが求められます。建設業界全体が一体となって課題解決に取り組むことで、未来への展望を切り開くことができるでしょう。
上記以外にも、建設業界の未来像について、専門家による様々な提言がなされています。例えば、ドローンを活用した測量や検査、3Dプリンターによる建築物の造形など、革新的な技術の導入も期待されています。これらの技術は、生産性向上だけでなく、安全性向上やコスト削減にも貢献すると考えられています。
建設業界の未来は、私たち一人ひとりの努力にかかっています。この記事が、建設業界に関わる方々、そして未来を担う若い世代にとって、少しでも役立つ情報になれば幸いです。
