2024年元旦に発生した能登半島地震は、甚大な被害をもたらしました。懸命な救助活動が行われる中、ボランティアの受け入れ体制に課題が見られたのも事実です。この記事では、当時の状況を振り返り、今後の災害支援における教訓を探ります。
混乱を招いた「ボランティア通行止め」要請
地震から4日後、石川県知事による「民間のボランティア、能登への通行をやめてください」という発言は、大きな波紋を呼びました。全国災害ボランティア支援ネットワーク(JVOAD)は、自治体と支援団体間の調整役として活動する「災害中間支援組織」ですが、災害対策本部への参加が認められず、この発言を会議室外で聞くしかありませんでした。
JVOAD代表理事は、「会議に参加できていれば、適切な情報発信に貢献できたはず」と、当時の無念さを語っています。この発言はSNSでも拡散され、ボランティア活動の停滞を招いた一因となりました。一体なぜ、このようなボタンの掛け違いが生じてしまったのでしょうか。
石川県災害対策本部会議の様子
災害中間支援組織の役割と課題
大規模災害発生時、自治体は災害対応に追われ、被災地には多くの支援団体やボランティアが駆けつけます。被災者支援を円滑に進めるためには、情報共有と連携が不可欠です。そこで重要な役割を担うのが、JVOADのような「災害中間支援組織」です。
しかし、石川県では中間支援組織の位置づけが明確でなく、JVOADは災害対策本部会議に参加できませんでした。地震発生翌日に県庁に到着したJVOAD代表理事は、過去の災害支援の経験から、県庁内に活動拠点が提供されることを期待していました。しかし、現実は異なり、当初は廊下の休憩スペースを拠点とすることになりました。
石川県知事の記者会見
混乱の中で見えた課題
2週間後には、「職員が休憩できない」との理由で、休憩スペースからの移動を余儀なくされました。県庁側は、多数の支援関係者を受け入れるスペースが不足していたと説明しています。
しかし、専門家は、災害発生時の受け入れ態勢の不備を指摘し、平時からの準備と連携の重要性を強調しています。「災害中間支援組織との連携を含め、日頃から顔の見える関係構築が不可欠」との声も上がっています。
今後の災害支援に向けて
能登半島地震は、災害時におけるボランティア受け入れ体制の課題を浮き彫りにしました。平時からの関係構築、情報共有の仕組みづくり、そして災害中間支援組織の役割明確化など、多くの教訓が残されています。今後の災害支援において、これらの教訓を生かし、より効果的な支援体制を構築していくことが重要です。