中国の自動車大手、比亜迪(BYD)の快進撃が止まらない。2024年の世界販売台数は、前年比41.3%増の427万台を記録。年間販売台数で初めてホンダ、日産自動車を上回る見通しとなり、世界市場での存在感をますます高めている。
EVとPHVの強力な販売攻勢
BYDの躍進を支えているのは、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の販売好調だ。乗用車全体の販売台数425万台のうち、EVは12.1%増の176万台、PHVは72.8%増の248万台と、どちらも大幅な伸びを示している。特にPHVの成長は目覚ましく、BYDの戦略の成功を物語っていると言えるだろう。
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海外市場での販売も好調で、前年の24万台超から41万台超へと大きく増加。10~12月の3ヶ月間は毎月50万台超を販売するなど、驚異的なペースで販売台数を伸ばしている。自動車業界アナリストの山田一郎氏は、「BYDの販売戦略は、価格競争力と技術力の両立を重視している点が強み。特に、独自のバッテリー技術は他社を圧倒しており、今後の成長をさらに加速させるだろう」と分析している。
世界の自動車市場で台頭するBYD
2023年の世界の自動車メーカー販売台数ランキングでは、BYDは10位(302万台)であった。一方、ホンダは7位(398万台)、日産は8位(337万台)と、BYDよりも上位に位置していた。しかし、2024年は状況が一変。ホンダの1~11月の累計販売台数は343万台、日産は305万台にとどまっており、12月分を加えてもBYDには及ばない可能性が高い。世界の自動車市場はEVシフトが加速しており、BYDのようなEVに強いメーカーが台頭する流れは今後も続くと予想される。
ホンダと日産の統合協議、EV競争激化への対応策となるか?
世界的なEVシフトの波に乗り遅れないために、ホンダと日産は経営統合協議を進めている。規模の拡大によってコスト削減や技術開発の効率化を図り、EV分野での競争力強化を目指している。統合によるシナジー効果がどれだけ発揮されるか、今後の動向に注目が集まる。
BYDの海外展開と今後の展望
BYDは海外展開にも積極的で、タイ、ブラジル、オーストラリアなどで販売台数を伸ばしている。2025年には韓国市場への参入も予定しており、世界各地でEV市場の競争が激化することが予想される。自動車評論家の佐藤花子氏は、「BYDの積極的な海外展開は、世界市場におけるEVの普及を加速させるだろう。一方で、各国の自動車メーカーもEV開発に力を入れており、競争は激化の一途をたどるだろう」と指摘している。BYDの快進撃は、世界の自動車市場にどのような変化をもたらすのか、今後の動向から目が離せない。