セルフレジの落とし穴?特売品「お一人様一点限り」のルール、守られていますか?

セルフレジの普及は、私たちの買い物体験を劇的に変えました。スピーディーな会計、人との接触を減らせるメリットなど、多くの利点があります。しかし、その一方で、新たな問題も生まれているようです。今回は、スーパーの特売日における「お一人様一点限り」の商品をめぐる、セルフレジでのルール違反の実態に迫ります。

セルフレジで横行する「一点限り」ルールの無視

都内在住のAさん(40代主婦)は、近所のスーパーで頻繁に目撃する光景に頭を悩ませています。そのスーパーでは、卵やお米など生活必需品が「お一人様一点限り」の特価で販売されることが多く、以前から有人レジで何度も購入を試みる客を見かけていたそうです。しかし、セルフレジ導入後、その状況はさらに悪化したとAさんは語ります。

「有人レジでは店員さんの目が届くので、さすがに何度も同じ商品を買う人は少なかったんです。でもセルフレジになってからは、まるで無法地帯のよう。先日もお米が一点限りの特売だったのですが、有人レジで会計を済ませた女性が、再び店に戻ってきてセルフレジでお米をもう一つ買っているのを見ました。有人レジだと顔バレするから、セルフレジを選んだのでしょうね…」(Aさん)

レジで会計する様子レジで会計する様子

Aさんのように、セルフレジでのルール違反を目撃しながらも、店員に告げ口することをためらう人は少なくないでしょう。消費者心理を研究する山田教授(仮名)は、「正義感と人間関係のバランスを取る難しさ」を指摘します。「他人の不正を指摘することは、時に自身をトラブルに巻き込むリスクを伴います。特に、顔見知りの可能性がある近所のスーパーでは、その心理的ハードルはさらに高くなるでしょう。」

エコバッグで隠して複数購入?巧妙化する手口

セルフレジでのルール違反は、より巧妙化しているケースもあります。メーカー勤務のBさん(30代女性)は、あるスーパーで驚くべき光景を目撃しました。牛乳が一本限りの特売日、セルフレジで会計を待つ列に並んでいたBさんは、前方の高齢男性が牛乳を複数本レジに通しているのを目撃したのです。

「その男性は、買い物カゴの中の未精算商品の上にエコバッグを被せて、その下からこっそり牛乳を取り出してレジに通していました。店員からは全く見えないので、何本でも買える状態でした」(Bさん)

牛乳パック牛乳パック

このような手口は、セルフレジのシステムの盲点を突いたものと言えるでしょう。スーパーマーケット協会の広報担当者(仮名)は、「セルフレジの導入は、人手不足の解消や効率化に大きく貢献していますが、不正行為への対策も重要な課題となっています。現在、AIを活用した不正検知システムの開発なども進められており、将来的にはより効果的な対策が期待されます」と語っています。

ルールとモラルの狭間で

セルフレジは便利なシステムですが、同時に「お一人様一点限り」といったルールの遵守が、消費者一人ひとりのモラルに委ねられる側面も持ち合わせています。特売品を少しでも安く手に入れたい気持ちは理解できますが、ルールを守らない行為は、他の買い物客にとって不公平感を生み出し、ひいては店全体の損失にもつながりかねません。

「お一人様一点限り」のルールは、限られた商品を多くの顧客に公平に提供するためのものです。セルフレジの普及に伴い、改めてルールとモラルの重要性を再認識する必要があるのではないでしょうか。