トランプ氏、関税巡り多数国に「書簡」送付へ 8月1日発効の可能性も

米国のトランプ大統領は6日、各国との関税交渉を巡り、12か15の貿易相手国にそれぞれ適用する関税率を記した書簡を近く送る見通しだと述べました。同席したラトニック商務長官は新たな関税措置を8月1日に発動すると明言しており、トランプ政権による「相互関税」の発効日が近づいている可能性が示されました。書簡の対象国は明かされませんでしたが、日本を含む多くの国・地域が影響を受ける可能性があります。

トランプ米大統領、貿易問題に関する発言の様子トランプ米大統領、貿易問題に関する発言の様子

「相互関税」の背景と現状

トランプ政権は今年4月、「相互関税」と称する措置を発動しました。これは、特定の貿易相手国からの輸入品に対し、一律10%の関税に加え、国・地域ごとに貿易不均衡の是正などを目的に定めた上乗せ分(日本は14%)を課すものです。政権はこの上乗せ分の適用を、各国・地域との交渉のため7月9日までの90日間停止してきました。これまでの交渉で、英国、ベトナムとは新たな貿易協定の締結で合意し、カンボジア政府も合意したと発表しています。しかし、日本を含む多くの国・地域とはこの期限までに合意に至っていません。

書簡送付と発効日の明言

トランプ氏は6日、米ニュージャージー州の空港で記者団に対し、書簡を送る相手国が「12か15になるかもしれない」と述べました。送付は7月7日に始め、一部は8日か9日になるとし、「(交渉期限の)7月9日までに、ほとんどの国と合意できると思う」との見通しを示しました。その後、自身のSNSにも「7日正午(日本時間8日午前1時)から送付を始める」と投稿し、書簡送付が間近であることを強調しました。

一方、同席していたラトニック商務長官は、「関税は8月1日に発効する」と明確に述べました。これは、たとえ7月9日の期限を過ぎても、新たな関税措置が実施される可能性が高いことを示唆しています。ラトニック長官は、大統領が様々な国々と合意に向けて協議している最中だとし、7月9日以降も各国との交渉を続ける考えを示しました。

また、ベッセント財務長官は6日放送の米CNNのインタビューで、書簡を送った一部の貿易相手国との交渉が進展しなければ、8月1日から「相互関税」の関税率を4月に発表した水準に戻す方針を改めて示しました。対象は米国が貿易赤字を多く抱える「重要な18か国」だと示唆しており、日本も含まれる可能性があります。さらに、貿易額が少ない約100か国にも、関税引き上げを通知する書簡を送る考えを明らかにしています。

今後の焦点

一連の発言から、トランプ政権が貿易相手国への関税措置実施を現実的な選択肢として検討しており、その発効日が8月1日となる可能性が非常に高いことが示されました。各国との交渉は7月9日の期限を過ぎても継続される見通しですが、特に貿易赤字が大きいと見なされている国々、なかでも日本にとっては、今後の交渉の行方と関税適用の動向が引き続き注視されます。