皇室をめぐる様々な報道が話題となった2024年。皇族の減少、そして皇位継承問題という喫緊の課題を抱える皇室は、2025年、どのような道を歩むのでしょうか。長年皇室を研究してきた明治学院大学名誉教授・原武史氏(仮名)と、象徴天皇制を専門とする名古屋大学准教授・河西秀哉氏(仮名)の対談を通して、皇室の未来を探ります。
秋篠宮さまの「生身の人間」発言:制度と個人の狭間で
秋篠宮さまの2024年11月の誕生日会見は、国民に大きな衝撃を与えました。女性皇族の結婚後の皇室残留案について問われた際、秋篠宮さまは皇室制度に関する直接的な言及は避けながらも、「該当する皇族は生身の人間」と述べ、現状への苦悩を滲ませました。これは、当事者の心情を無視したまま議論が進むことへの強い懸念の表れと言えるでしょう。
秋篠宮ご一家の動向が注目されている
河西氏の見解では、この発言には、ご自身の意見が軽視されているという戸惑いと同時に、皇族としての立場から自由に発言することの難しさが表れていると指摘します。特に、次女・佳子内親王殿下のご結婚問題が背景にあると考えられます。
原氏は、宮中には女性皇族に大きな負担を強いる慣習が未だに残っていると指摘。佳子内親王殿下を現状のまま皇室の制度に縛り付けて良いのかという疑問が、「生身の人間」という言葉に込められていると分析します。
2004年から続く皇室典範改正の議論が未だに結論が出ていない現状に対する、一刻も早い解決を促すメッセージとも捉えることができると河西氏は付け加えます。政府への批判、そして国民への問題提起でもあったでしょう。
秋篠宮家へのバッシング:SOSと捉えるべきか
秋篠宮さまは会見で、秋篠宮家へのバッシングについて「いじめ的情報」と表現しました。これは非常に踏み込んだ発言であり、「このままでは耐えられない、現状が改善されなければ皇籍離脱も考える」というSOSとも受け取れます。
たこ焼き片手に歩かれる佳子さま
悠仁さまの未来:自由と重圧の狭間で
秋篠宮家の長男・悠仁親王殿下は成年皇族となり、2025年4月からは筑波大学で生物学を学ぶ予定です。昭和天皇以降、天皇家には生物学研究という伝統がありますが、悠仁さまがその道を歩むとしても、時代がそれを許すかは未知数です。
原氏は、東アジア情勢の緊迫化によって、自民党右派や自衛隊幹部が天皇を精神的支柱として祭り上げる可能性を指摘。世論が右傾化すれば、否応なく悠仁さまへの注目が集まると予想します。
河西氏は、悠仁さまの自由な学生生活が制限される可能性を危惧しています。近年、皇室のプライベート重視への風当たりは強く、特に秋篠宮家への批判は根強いものがあります。大学での自由な学びや研究が「皇室特権」と批判されるリスクも存在します。
天皇家との対比:国民の意識の変化
秋篠宮家へのバッシングの背景には、天皇家との対比があると原氏は分析します。2024年、天皇皇后両陛下は被災地・能登を3回訪問し、深く黙祷されました。これは、行幸啓を重視し、国民のために祈る上皇ご夫妻の姿と重なります。天皇皇后両陛下が平成流の「公」重視に回帰する一方で、秋篠宮家は「私」を優先しているという批判につながっている可能性があります。
河西氏もこの対比を指摘。平成時代前半は、静養など「私」を重視する皇室が評価されていましたが、時代とともに「公」重視へと変化しました。経済の低迷や格差社会の進行により、国民に余裕がなくなったことが背景にあると考えられます。
2025年、皇室は大きな岐路に立たされています。国民の意識の変化、国際情勢の不安定化など、様々な要因が複雑に絡み合い、皇室の未来は不透明です。悠仁さまの成長、そして秋篠宮家への風当たりが、今後どのように変化していくのか、注目が集まります。