緊迫の韓国政局:大統領警護庁長官が辞任、尹大統領逮捕状執行の行方は?

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する逮捕状執行を巡る攻防が激化しています。大統領警護庁の朴鍾俊(パク・ジョンジュン)庁長が10日、電撃辞任しました。この辞任劇は、混迷を深める韓国政局に更なる波紋を広げています。

警護庁長官辞任の真相

朴氏は、高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)などによる合同捜査本部が尹大統領への逮捕状執行を試みた際、その阻止を主導した中心人物です。辞任の理由は公式には明らかにされていませんが、韓国メディアは、警護庁内部での意見対立が背景にあると報じています。警察出身の朴氏は、捜査本部との衝突を回避したい意向だったとされますが、後任のキム・ソンフン次長は強硬姿勢で知られており、辞任に至ったとの見方です。

ソウルで捜査当局に出頭した大統領警護庁の朴鍾俊庁長ソウルで捜査当局に出頭した大統領警護庁の朴鍾俊庁長

一部では、朴氏が捜査への批判を表明しながら辞任したことで、捜査本部の混乱を意図した行動ではないかとの憶測も飛び交っています。朴氏は辞任前、捜査当局への出頭の際に、「現職大統領の身分にふさわしい捜査手続きが行われるべきだ」と述べ、捜査の正当性に疑問を呈していました。

逮捕状再発付、緊迫高まる攻防

捜査本部は7日、尹大統領に対する逮捕状を再発付し、執行に向けた準備を進めています。聯合ニュースによると、警察は9日、約1000人の捜査員に対し、逮捕状執行の準備を行うよう指示を出しました。3日の初回執行時には、100人の捜査員が警護庁の200人の警備隊に阻まれ、失敗に終わっていました。今回の大規模な動員は、警護庁の抵抗を想定した対応とみられます。

警護体制の見直しと今後の政局

朴氏の辞任により、大統領警護体制の見直しは避けられない状況です。キム次長が率いる新体制下で、警護庁はこれまで以上に強硬な姿勢で捜査に対抗する可能性が指摘されています。尹大統領の逮捕状執行を巡る攻防は、今後さらに激化することが予想され、韓国政局の行方はますます不透明さを増しています。

韓国政治の専門家の見解

韓国政治に詳しい慶應義塾大学の小林教授(仮名)は、「今回の辞任劇は、尹大統領への支持基盤の弱体化を示唆している」と分析します。「逮捕状執行を巡る混乱が長期化すれば、国民の政治不信が高まり、尹政権の求心力低下は避けられないだろう」と警鐘を鳴らしています。今後の動向が注目されます。