ロサンゼルス近郊で猛威を振るう山火事は、死者11名に達し、未だ鎮火の目処が立っていません。被害は拡大の一途を辿る中、ハリウッドをはじめとする観光業への影響も深刻化しています。かつての賑わいは失われ、観光客の姿はまばら。この未曾有の危機は、地域の経済に暗い影を落としています。
山火事の爪痕:閑散としたハリウッド
あの華やかなハリウッドが、まるで別世界のように静まり返っています。TCLチャイニーズ・シアター前の広場、普段なら世界中からの観光客で溢れかえるこの場所も、今は人影まばら。土産物店の店長アダム・ロドリゲスさん(30)は、「人出はいつもの10分の1以下」と嘆きます。長年この地で観光客を案内してきたグレッグ・ドノバンさん(65)も、「コロナ禍を除けば、こんな事態は初めて。早く元の賑わいが戻ってほしい」と肩を落とします。
alt=閑散としたTCLチャイニーズ・シアター前の広場。山火事の影響で観光客の姿はまばら。
コロラド州から旅行で訪れていたセシリア・ザイトリンさん(51)は、「混んでいないのは助かるけど、少し寂しい」と複雑な心境を吐露。「災害で大変な時だからこそ、この地域のために少しでもお金を使いたい」と話しました。観光客の減少は、地域経済への打撃を意味します。
避難指示と休園:観光への更なる影響
ロサンゼルス郡によると、10日午前の時点で約15万人が避難指示の対象となっています。8日にはハリウッド付近でも山火事が発生し、一時、近隣住民に避難指示が出されました。ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドも8日、9日の両日は休園を余儀なくされました。
alt=ロサンゼルス西部で発生した山火事。燃え広がる炎と煙が空を覆う。
山火事の猛威は、観光客の心理にも影響を与えています。ニュースでは燃え広がる炎の映像が繰り返し流れ、煙による健康被害も懸念されています。従業員が出勤できずに休業するレストランなども出ており、これらの状況が観光客の足止めの一因となっているのは明らかです。
混乱に乗じた犯罪:更なる不安要素
避難指示地域では、混乱に乗じた窃盗などの犯罪も発生しており、既に略奪容疑での逮捕者も出ています。ロサンゼルス郡地方検察は、「略奪、詐欺、窃盗、強盗などのいかなる犯罪行為も厳しく処罰する」と警告を発しています。こうした治安の悪化も、観光客の不安を増大させています。
山火事の終息と、観光業の復興が一日も早く実現することを願うばかりです。