■米、ポケカ、特売品…1人で「こっそり2個以上」は罪に問えるか
限定品や特売品、品薄状態の商品などを買うときに「おひとり様1点限り」と注意書きがされていることがあります。店は「より多くのお客様に買ってほしい」と考えているのでしょう。「それは店側のエゴだ! たくさん買っても咎められるものではないだろう」と思うかもしれません。法律的に、店は購入個数に制限をかけてよいのでしょうか。
結論から言うと、問題ありません。民法521条には、民間事業者は法の範囲内で自由に契約内容を決められるという「契約自由の原則」が明記されています。誰に何を何個売るかは、店が決めてよいということです。「おひとり様1点限り」という売り方は全く問題なく、「早いもの勝ちだからどんどん買ってね」と売るのも自由だし、「人気商品だから多くの人にいきわたってほしい」と制限をかけて売るのも自由なのです。
もし客が「おひとり様1点限り」を無視して、1人で2個以上買おうとした場合はどうなるのか。支払い前であれば、店は「契約自由の原則」に則って断れます。売るのも自由だし、売らないのも自由だからです。料金を支払えば売買契約が成立します。
では「おひとり様1点限り」の商品を、同一人物が同じ日に繰り返し購入した場合はどうか。同じように、店側は支払い前であれば断れます。店が「同一人物でない」という錯誤に陥っていた場合、売買契約を取り消すことが理論的には可能です。ただ、店には損害もないので現実的にはそのようなことはしないでしょう。「おひとり様1点限り」を4人家族が総出で1個ずつ購入する方法はどうでしょうか。この場合は、1人1個のルールに則っていますので、問題ありません。家族だけでなく友達同士で集まって購入しても大丈夫でしょう。ただし、店側が「だめ」だと言ったら諦めましょう。「契約自由の原則」に則り、売るのも売らないのも店の自由なのです。
「1家族につき1点」と書かれている場合もありますね。仮に家族がバラバラに並んで1個ずつ購入したらどうなるか。この場合、支払いが完了していても問題になる可能性があります。ただ店は対価を得て実損がないので、多くは徹底的に問い詰めることはしないでしょう。