「行政で重視されるべき手続きが軽視され、知事のやりたい放題が続いている。非常に憂慮すべき事態だと感じます」
【画像】東大→経産省→マイクロソフトを経て茨城県知事になった大井川知事
こう語るのは、現役の茨城県職員だ。
5月30日午後、茨城県知事の大井川和彦氏(61)が、9月25日の任期満了に伴う県知事選の3選出馬を表明した。
「地方の茨城が生き残るには、新しい未来を自分たちで切りひらいていく覚悟が求められるのではないか」
今回の県知事選に向けての出馬表明は、大井川氏が一番乗りだ。有力な対抗馬が存在しない中での出馬会見は、余裕そのものだった。2期8年の自身の県政運営について「非常に大きな成果が出ている」「前例にとらわれず、合理的な対策をスピーディーに打ってきた」などと強調した。
だが、胸を張る知事の陰にはさまざまな疑惑が燻る。
5月下旬には、飯塚博之副知事によるパワーハラスメントを訴えて自殺した秘書課職員の桜木拓也氏(仮名=享年41)をめぐり、県が設置した第三者委員会は報告書で「パワハラはなかった」と結論づける一方で、「副知事の言動に全く問題がなかったわけでもない」などと付言していたことが明らかになった。2月に県が報道陣に公表した報告書の概要には、「副知事の言動に〜」の部分は公表されていなかった。
県関係者が嘆息する。
「県は公表しなかった理由について、『遺族のプライバシーを尊重した』としていますが、副知事らに不利な内容を隠したとしか思えない。報告書について知らせる上で、明かさなければならない公益的な内容でしょう」
「週刊文春」は 6月2日公開の電子版 で、飯塚副知事からの暴言や人格否定に苦しんでいたとされる桜木氏の遺書を公開している。
当局にとって都合のよいことしか公表しない大井川県政の闇はどこまで深いのか。真相を探ろうと、「週刊文春」が公文書開示請求をかけると、ある重大な側面が浮かび上がった。県の「最高意思決定機関」である庁議の議事録が、直近5年間に渡って残されていないことが明らかになったのだ。
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「週刊文春 電子版」 では、大井川氏の知事就任後、県の「最高意思決定機関」である庁議が軽視されていく過程、大井川知事による会議の私物化など、専門家も問題視する“大井川県政の闇”について詳報している。
「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル