大磯町小学校いじめ問題:5年間の壮絶な体験、学校側の対応に批判の声

大磯町の小学校で、5年間にも渡り凄惨ないじめを受け続けたA君とその母親の苦悩が明らかになりました。入学当初から続く陰湿ないじめ、そして学校側の信じがたい対応とは一体どのようなものだったのでしょうか。本記事では、この深刻な問題について深く掘り下げ、いじめ撲滅への道を探ります。

繰り返されるいじめ、エスカレートする暴力

A君は小学1年生の時から、体操着入れを破られるなどのいじめを受け始めました。母親は当初、A君の扱いが荒いせいだと考えていましたが、授業見学中にクラスメイトがいじめをしている現場を目撃。担任教師や教頭に報告しましたが、状況は改善されませんでした。

学年が上がるにつれ、いじめはエスカレート。ランドセルを蹴られたり、靴を投げ捨てられたりするだけでなく、陰湿な言葉の暴力も日常茶飯事となりました。A君はストレスからチック症状や胃痛に悩まされるように。

体操服袋やランドセルを蹴られるなどのいじめを受けたA君。写真はイメージです。体操服袋やランドセルを蹴られるなどのいじめを受けたA君。写真はイメージです。

4年生になると、いじめは身体的な暴力へと発展。顔付近を殴られたり、テストの答案用紙を破り捨てられたり、給食時には「デブは食うな」と罵声を浴びせられ、おかずをもらえないこともありました。A君は担任に訴えましたが、取り合ってもらえなかったといいます。

学校側の信じがたい対応、そして転校へ

トイレにも落ち着いて行けず、給食もまともに食べられないA君は、早退を繰り返すように。「階段から突き落としたい」と脅迫されたこともあり、学校では常に恐怖を感じて過ごしていました。

両親は学校に何度も訴えましたが、「小さないじめは自分で解決してほしい」「A君にはスルー力が足りない」などといった信じがたい言葉が返ってきたといいます。町議や町長にも相談しましたが、校長は「学校として対応している」と繰り返すばかりでした。

A君は心臓の痛みや手の震え、涙が止まらないなどの症状が出るようになり、5年生になると持病の喘息が悪化。「もう無理だ」と訴えるA君の姿を見て、母親は転校を決意。転校後はA君はいじめを受けることはなくなり、逆に5年間の苦しみが浮き彫りになりました。

いじめ重大事態認定、そして第三者委員会による調査へ

文部科学省のガイドラインでは、被害児童が転校した場合でも学校は適切な対応を行うよう定められています。しかし、学校側はA君の転校後もいじめの調査を行わず、「記録も記憶もない」と主張。母親が開示請求をした結果、いじめ重大事態として認定され、ずさんな管理体制が明らかになりました。出席簿では、A君が4年生の時に早退した65日間がすべて出席扱いになっていたのです。

いじめ問題について話し合うA君の母親。写真はイメージです。いじめ問題について話し合うA君の母親。写真はイメージです。

現在、第三者委員会による調査が進行中。母親は、いじめの事実を明らかにし、再発防止策を講じることを強く求めています。学校側は取材に対し、教育委員会への問い合わせを指示。教育委員会は「第三者委員会による調査中のため、個別の案件についての回答は控える」と回答しました。

専門家からの声、いじめ撲滅への課題

いじめ問題に詳しい高橋知典弁護士(仮名)は、「被害児童の保護者からいじめが疑われるとの報告を受けた時点で、学校は調査と対応を行うべきだ」と指摘。A君が転校を余儀なくされるほど追い詰められていたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった学校側の責任は重大だとしています。

いじめは深刻な事態に発展する可能性があります。保護者だけでなく、学校や教師も真剣に取り組み、早期発見・早期対応が重要です。いじめを許さない社会の実現に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていかなければなりません。

いじめのサインを見逃さないために

いじめは、身体的な暴力だけでなく、言葉の暴力や無視、仲間外れなど様々な形で起こります。子供の些細な変化にも気を配り、いじめを受けているかもしれないサインを見逃さないことが大切です。例えば、以下のような兆候が見られたら、注意深く観察し、子供とじっくり話し合ってみましょう。

いじめのサイン:

  • 不登校気味になる
  • 元気がなくなり、食欲が落ちる
  • 体に痣や傷ができる
  • 持ち物がなくなる、壊される
  • 夜眠れなくなる、悪夢を見る

いじめは決して許される行為ではありません。子供たちが安心して学校生活を送れるよう、社会全体で取り組んでいく必要があります。