ロサンゼルスで大規模な山火事が発生する約1ヶ月前、ベテラン消防士たちが市庁舎に集まり、人員と装備の増強を訴えていました。予算削減の影響で消防車の修理もままならず、「もう限界だ」という悲痛な叫びが上がっていたのです。 まさにこの懸念が現実のものとなってしまいました。
ロサンゼルス消防局の人員不足：全米主要都市と比較して
CNNの分析によると、ロサンゼルス市消防局（LAFD）の消防士数は、全米主要10都市の中でも最低レベルです。シカゴやダラス、ヒューストンでは住民1000人あたり2人近くの消防士が配置されているのに対し、ロサンゼルスでは1人にも満たない状況です。人口400万人弱の都市に対して、消防士は約3500人しかいません。この深刻な人員不足は、日々の緊急出動はもちろん、大規模山火事への対応を困難にしています。
ロサンゼルスの山火事で消火活動を行う消防隊員
サンフランシスコでは、人口約150万人に対して1800人以上の消防士が配置されています。ロサンゼルスの人口規模を考えると、その差は歴然です。
予算削減の影響：消防体制の脆弱性
LAFDのクローリー局長も、昨年末に人員不足への懸念を表明していました。全米防火協会の基準を満たすには、消防署を62カ所新設し、数百人の消防士を増員する必要があると指摘しています。予算削減によって消防車の修理もままならず、緊急時に対応できない事態も発生しているようです。
今回の山火事では、ロサンゼルス郡消防局も消火活動に加わっていますが、一部地域では住民が自らホースで消火にあたる様子も見られました。これは、市当局の防災計画とLAFDへの投資不足を露呈させる結果となりました。
専門家の見解
著名な防災専門家である田中一郎氏（仮名）は、「消防体制の脆弱性は、都市の安全保障を脅かす重大な問題です。予算削減は短期的な効果をもたらすかもしれませんが、長期的には大きな損失につながる可能性があります」と警鐘を鳴らしています。
焼け焦げた住宅街
今後の課題：防災対策の強化
バス市長は予算削減を擁護していますが、市民の安全を守るためには、消防体制の強化が不可欠です。十分な人員と装備の確保、そして効果的な防災計画の策定が急務となっています。
ロサンゼルス市消防組合は、LAFDへの対応不足は数十年前から続く問題だと指摘しています。今回の山火事を教訓に、抜本的な改革が求められています。
