がんは世界中で人々の健康を脅かす深刻な病気ですが、韓国はその治療において目覚ましい成果を上げています。今回は、韓国のがん治療の現状と課題、そして未来への展望について詳しく解説します。
世界をリードする韓国のがん治療の実力
2022年の韓国保健福祉部による国家がん登録統計によると、韓国のがん死亡率は人口10万人あたり77人と主要国の中で最低値を記録しました。これは、韓国のがん治療能力が世界トップレベルに達していることを示唆しています。健康診断の普及によりがんの早期発見が増加している一方で、がん発生率は10万人あたり287人と、米国や英国よりは低いものの、日本や中国よりも高い数値となっています。
alt韓国におけるがん発生率と死亡率の推移を示すグラフ。主要国との比較において、韓国の死亡率の低さが際立っている。
主要7カ国（韓国、日本、中国、米国、英国、ドイツ、イタリア）を比較した結果、韓国は主要ながんの治療能力において特に優れていることが明らかになりました。例えば、胃がんの発生率は日本に次いで2位ですが、「がん発生率に対する死亡率」は7カ国中最も低くなっています。大腸がんにおいても同様の傾向が見られ、発生率は日本に次いで高いものの、死亡率は最も低く、治療レベルの高さが伺えます。乳がんにおいても、韓国の治療レベルは1位と評価されています。
治療の進歩と新たな課題
韓国の医療関係者は、これらの指標が韓国のがん治療能力の世界最高水準を示す一方で、新技術や新薬の開発に積極的に取り組む必要性を強調しています。ソウル大学病院教授の韓元湜氏は、近年、細菌やウイルスによる胃がん、肝臓がん、子宮頸がんは減少傾向にあり、乳がんや前立腺がんといった生活習慣病関連のがんが増加していると指摘。これは先進国と同様のパターンであり、これらの新薬開発においては米国などの先進国が先行している現状を指摘しています。
韓国国立がんセンターの梁漢光院長は、日本が国家主導で新薬開発を成功させている事例を挙げ、韓国もがん治療技術や抗がん剤の研究開発支援、そして先進国との研究協力を強化するべきだと提言しています。
地方における医療格差の是正
盆唐ソウル大学病院がんセンターのイ・グンウクセンター長は、必須医療科目の医師不足が深刻化し、地方の病院から首都圏への医師流出が加速していると指摘。地方病院の人手不足は、患者のソウルへの遠征治療の増加につながり、医療格差の是正が急務となっています。医療界と政府の対立を解消し、正当な待遇を提供することで必須医療科目を存続させることが重要であると訴えています。
未来への展望：更なる進化に向けて
韓国のがん治療は世界トップレベルに位置していますが、更なる進歩のためには、新薬開発や医療体制の整備、そして医療格差の是正といった課題に取り組む必要があります。これらの課題を克服することで、韓国はがん治療における世界的なリーダーとしての地位を確固たるものにしていくでしょう。
