韓国の空き家保証金詐欺、米国逃亡夫婦が送還 被害者自殺の悲劇も

大田市周辺で62億ウォン規模の「空き家保証金詐欺」を働き、米国に逃亡していた夫婦がついに韓国に送還されました。この事件は、韓国社会に大きな衝撃を与え、ギャップ投資の闇を浮き彫りにしました。

ギャップ投資詐欺の実態

2019年から2023年にかけて、40代の夫婦は大田市周辺で11棟の集合住宅をギャップ投資の形で購入し、90人もの賃借人から総額62億ウォンもの保証金を騙し取りました。ギャップ投資とは、韓国独自の賃貸制度「伝貰(チョンセ)」を利用した投資手法です。賃借人は住宅価格の5〜8割程度を保証金として支払い、家賃は免除されます。本来は少額の資金で資産を増やすことができる魅力的な投資方法ですが、この夫婦は悪質な詐欺に利用しました。

米国連邦移民税関執行局(ICE)のホームページ米国連邦移民税関執行局(ICE)のホームページ

米国での逃亡生活と逮捕劇

捜査の手が迫る中、夫婦は2022年に米国へ逃亡。アトランタの高級住宅地で裕福な生活を送っていました。子供をフェンシングクラブに通わせるなど、優雅な暮らしぶりは、被害者たちの苦しみとは対照的でした。しかし、韓国警察の執念深い捜査と国際刑事警察機構(ICPO)の協力により、昨年7月に米国での居住情報が特定され、同年9月に逮捕。11月には韓国へ送還されました。

被害者の悲劇と社会への影響

この事件で最も痛ましいのは、50代の男性被害者が約8000万ウォンの保証金を騙し取られた後に自殺してしまったことです。この悲劇は、ギャップ投資詐欺の深刻さを改めて社会に突きつけました。韓国では近年、同様の詐欺事件が頻発しており、政府も対策強化に乗り出しています。専門家の中には、「不動産市場の透明化と規制強化が急務だ」と指摘する声も上がっています。例えば、不動産取引の電子化や、保証金の返還保証制度の拡充などが検討されています。

ギャップ投資の未来

ギャップ投資自体は、本来は健全な投資手法です。しかし、今回の事件のように悪用されるケースも出てきています。今後のギャップ投資は、より安全で透明性の高い制度へと進化していく必要があるでしょう。投資家も、リスクを正しく理解し、信頼できる業者を選ぶことが重要です。

まとめ

今回の事件は、ギャップ投資の光と影を浮き彫りにしました。被害者への救済と再発防止策の徹底が求められる中、韓国社会全体でこの問題に向き合っていく必要があるでしょう。