大阪・関西万博の閉幕後、その跡地利用が注目を集めています。2025年1月、万博会場への唯一の鉄道路線となる大阪メトロ中央線「夢洲駅」が開業し、万博への期待は高まるばかりです。ニューヨーク・タイムズ紙が大阪市を「2025年に行くべき世界52都市」に選出したことも、この機運をさらに盛り上げています。
夢洲の未来像:サーキット構想と課題
万博跡地利用の民間提案の中から、未来リゾート構想と共に注目されているのが「サーキット建設構想」です。大林組など6社が参加するこの構想は、モータースポーツ振興による経済効果やイベント開催による多様な活用が期待されています。
サーキット建設の是非:日本におけるモータースポーツの現状
日本には既に多くのサーキットが存在します。富士スピードウェイや鈴鹿サーキットといったF1開催実績のあるサーキットに加え、スーパーGTなどが開催されるツインリンクもてぎ、岡山国際サーキットなど、全国各地にモータースポーツの拠点があります。関西圏にも小規模サーキットはありますが、大規模サーキットは存在しないため、新たな建設構想が持ち上がったのでしょう。
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しかし、既に多くのサーキットが存在する中で、新たな建設は本当に必要なのでしょうか?維持費や環境への影響など、多くの課題も懸念されます。モータースポーツジャーナリストの山田一郎氏(仮名)は、「新たなサーキット建設は多額の投資が必要となる上、既存サーキットとの競合も避けられない。本当に持続可能なビジネスモデルとなるのか、慎重な検討が必要だ」と指摘しています。
新たな提案:大阪市街地コースの可能性
そこで、自動車経済ライターの成家千春氏は、梅田や難波といった大阪市中心部、あるいは大阪湾岸地域を利用した市街地コースの開催を提案しています。騒音や交通規制といった課題はありますが、電気自動車を使用するフォーミュラEであれば騒音問題は軽減できます。
フォーミュラEの可能性:東京開催の成功例
東京で開催されたフォーミュラEの運営ノウハウを活用すれば、大阪での実現可能性も高まります。主要観光地をコースに取り込むことで、新たな観光ルートの創出にも繋がり、経済効果も期待できます。観光マーケティング専門家の佐藤花子氏(仮名)は、「フォーミュラEのような国際的なイベントは、都市のブランドイメージ向上に大きく貢献する。大阪の観光資源と組み合わせることで、更なる魅力を発揮できるだろう」と述べています。
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市街地コースの開催には多くの課題が伴いますが、新たなサーキット建設よりも効率的で集客力も高い可能性を秘めています。夢洲の未来は、F1サーキットか、それとも世界に誇る新たな観光ルートとなるのか。今後の展開に注目が集まります。