囲碁界に激震が走った。世界囲碁大会LG杯棋王戦決勝第2局で、中国のトップ棋士、柯潔九段がまさかの反則負けを喫した。原因は、アゲハマ(取った石)を碁笥の蓋の上に置かなかったこと。世界大会決勝での反則負けは史上初の珍事であり、波紋を広げている。
史上初の反則負け、その顛末は?
2月22日に行われたLG杯棋王戦決勝第2局。すでに1勝を挙げている柯潔九段と、韓国の卞相壹九段の対局は、誰も予想だにしなかった結末を迎えた。
柯潔九段は死に石を取った後、テーブルの上に置いてしまった。囲碁のルールでは、取った石は碁笥の蓋の上に置かなければならない。この行為は約30分後に発覚。囲碁TVの中継画面で反則を確認したユ・ジェソン審判が対局場に入り、柯潔九段に警告と2目のペナルティを与えた。
柯潔九段と卞相壹九段の対局の様子
しかし、波乱はこれで終わらなかった。約1時間後、柯潔九段は再び同じ反則を犯してしまう。今度は卞相壹九段が異議を唱え、審判が確認した結果、卞相壹九段の反則勝ちが宣言された。
新ルールが引き起こした悲劇?
実は、アゲハマを碁笥の蓋の上に置かなければならないというルールは、昨年11月に韓国棋院が新設したもの。韓国と中国では囲碁のルールに若干の違いがあり、死に石の扱いもその一つ。韓国では死に石も計算に入れるが、中国では盤上の石のみを計算する。この違いから、中国の棋士が韓国主催の大会でアゲハマを放置するケースが何度か発生し、問題となっていた。
韓国棋院は新ルール制定後、中国を含む海外の囲碁界にも通知していたという。しかし、トップ棋士である柯潔九段がルールを知らなかった、もしくは軽視していた可能性も否定できない。
柯潔九段の抗議と今後の展望
反則負けが宣言されると、柯潔九段をはじめとする中国側は約50分間にわたり抗議。しかし、判定は覆らず、優勝の行方は23日に行われる決勝第3局に持ち越されることとなった。優勝賞金は3億ウォン(約3260万円)と高額であり、最終決戦はさらに注目を集めるだろう。
専門家の見解
著名な囲碁評論家、加藤一二三名誉棋聖(仮名)は、「今回の件は非常に残念です。ルールはルールであり、それを遵守するのは棋士として当然の義務です。しかし、トップ棋士である柯潔九段がこのようなミスを犯してしまったことは、改めてルール徹底の重要性を示すものでもあるでしょう」とコメントしている。
決勝戦の様子
今回の騒動は、日中韓の囲碁界に大きな波紋を投げかけた。今後の国際大会におけるルール運用や、棋士への教育体制の見直しも必要となるかもしれない。jp24h.comでは、引き続きこの問題を追跡し、最新情報をお届けしていく。