日銀、金融緩和調整継続へ 物価上昇見通し上方修正で

日本銀行は24日、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を発表し、現状の実質金利が極めて低い水準にあるとの認識を示しました。今回示された経済・物価見通しが実現すれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく方針です。

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日銀、利上げ継続の可能性を示唆

23日と24日に開催された金融政策決定会合で、日銀は利上げを決定しました。展望リポートでは、2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策運営を行うと表明しています。 これは、物価上昇の兆候を踏まえ、更なる金融引き締めを示唆するものと言えるでしょう。経済アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「今回の展望リポートは、日銀がインフレ抑制に真剣に取り組む姿勢を示したと言えるでしょう」と分析しています。

物価上昇見通し、上方修正

展望リポートでは、2024年度から2026年度にかけてのコアCPI(消費者物価指数、生鮮食品除く)の前年度比上昇率見通しが引き上げられました。物価の基調的な上昇率は徐々に高まると予想され、見通し期間後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方が示されています。

リスク要因は海外経済、資源価格、企業の賃金・価格設定行動

見通しに対するリスク要因としては、海外の経済・物価動向や資源価格の変動、そして企業の賃金・価格設定行動などが挙げられています。不確実性は引き続き高いとされており、特に海外経済の動向が日本経済に大きな影響を与える可能性が懸念されています。 著名経済評論家の佐藤花子氏(仮名)は、「世界経済の不透明感が増す中、日本経済も予断を許さない状況と言えるでしょう。特に資源価格の変動は、家計への負担増につながる可能性があります」と警鐘を鳴らしています。

米国経済の動向に注視

経済見通しに対する個別のリスク要因として、日銀は海外の経済・物価情勢と国際金融資本市場の動向を挙げています。現状、米国経済は堅調に推移し、国際金融資本市場は全体として落ち着いているものの、米国の政策運営を巡る不確実性が世界経済に影響を及ぼす可能性に留意する必要があるとしています。

企業の賃金・価格設定行動に注目

日銀は、企業の賃金・価格設定行動が以前と比べて積極化しており、為替変動が物価に影響しやすくなっていると指摘しています。中心的な見通しでは「賃金と物価の好循環」が引き続き強まっていくことを想定していますが、中小企業を中心に賃上げの価格転嫁が容易ではないという声もあることを認識しています。

為替と物価の関係為替と物価の関係

今後の金融政策運営に注目

日銀は、輸入物価からの価格転嫁の影響が弱まる中で、各種コストの販売価格への転嫁の動きが弱まることがないか注視していく必要があるとしています。今後の金融政策運営においては、これらのリスク要因を慎重に見極めながら、適切な対応が求められるでしょう。