2025年春闘がついに開幕しました。物価高騰の波が押し寄せる中、連合は5%以上の賃上げを要求、中小企業においては6%以上を掲げ、大手との格差是正に焦点を当てています。果たして、この大胆な目標は日本経済全体に賃上げの波及効果をもたらすことができるのでしょうか?本記事では、2025年春闘の展望と課題を深く掘り下げていきます。
労使の温度差:共闘と現実の狭間で
経団連と連合のトップ会談では、賃上げの必要性については双方が認識を共有しました。価格転嫁の推進など、賃上げ原資確保の重要性も確認され、一見すると協調ムードが漂っています。しかし、中小企業の賃上げ目標に関しては、両者のスタンスに微妙なズレが見られます。連合は中小企業で6%以上という高い目標を設定し、大手との格差縮小に強い意欲を示す一方、経団連は「チャレンジングな目標」と慎重な姿勢を崩していません。
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中小企業の賃上げ:格差是正への道のり
連合が中小企業の高い賃上げ目標を掲げる背景には、企業規模間の賃金格差への危機感があります。2024年春闘では、全体で33年ぶりの高水準となる5.10%の賃上げが実現しましたが、中小企業は4.45%にとどまり、格差は依然として残っています。中小企業の賃上げ促進には、価格転嫁の推進が不可欠です。ものづくり産業労働組合(JAM)の安河内賢弘会長は、値上げに踏み切れない企業の意識改革を訴えています。UAゼンセンの永島智子会長も、格差拡大に歯止めをかける重要性を強調しています。
賃上げの持続可能性:中小企業の苦境と打開策
中小企業の賃上げ実現には、多くの課題が山積しています。「防衛的賃上げ」を繰り返してきた中小企業には、賃上げの余力が乏しいとの指摘もあります。みずほリサーチ&テクノロジーズの服部直樹氏は、中小企業の賃上げ率は4%台前半にとどまると予測し、格差解消の難しさを示唆しています。
政府は下請法の改正や地方版政労使会議などを通して賃上げを後押ししていますが、具体的な成果に繋がるかは不透明です。今後の労使交渉において、どれだけ実質的な議論が進展するかが、賃上げの持続可能性を左右する鍵となるでしょう。
2025年春闘の主な日程
今後の春闘の動向を把握するために、主な日程を以下にまとめました。
- 1月23日:電機連合が統一要求方針決定
- 1月31日:経団連労使フォーラム
- 2月6日:連合が闘争開始宣言
- 2月中旬:大手企業の労働組合が経営側に要求提出
- 3月12日:大手企業の集中回答日
- 3月14日:連合が第1回回答集計結果発表
- 3月後半:中小企業の労使交渉ヤマ場
これらの日程を踏まえ、今後の展開に注目していきましょう。2025年春闘は、日本経済の未来を占う重要な試金石となるはずです。