米連邦議会上院は24日夜(日本時間25日昼)、国防長官に元テレビ司会者のピート・ヘグセス氏(44)をあてる人事案を承認した。過半数を占める与党・共和党からも反対者が出て、上院議員の採決では賛成と反対が同数で並んだ。このため、上院議長を兼ねるバンス副大統領が賛成票を投じて承認となった。
上院の構成は、共和党が53議席で、民主党が47議席(民主党系無所属の2議席を含む)。共和党のマコネル前院内総務、穏健派のマカウスキ、コリンズ両議員の計3人が反対票を投じたため、賛否が50票ずつで並んだ。副大統領は通常、本会議に出席しないが、採決で賛否が同数になった場合は出席して決裁票を投じ、「均衡」を破る。
副大統領が閣僚の人事承認を巡って決裁票を投じたのは米国史上2回目。前回は、トランプ政権1期目の2017年、教育長官にベッツィ・デボス氏をあてる人事案承認の際にペンス副大統領(当時)が賛成票を投じた。
ヘグセス氏は元陸軍州兵で、イラクやアフガニスタンでの従軍経験がある。その後は、保守系ケーブルテレビ局FOXニュースの司会者を務めていた。過去に性的暴行容疑で捜査を受けたことや、過剰飲酒を巡る問題などが相次いで報じられた。また、政府や軍の要職の経験がないことや、女性は戦闘任務に就くべきではないと発言していたことなどもあり、資質を疑問視する声が上がっていた。
トランプ氏は承認を受け、記者団に「素晴らしい国防長官が決まったと聞いた。非常に喜んでおり、投票に感謝している」などと語った。【ワシントン西田進一郎】