【夕刊フジ休刊】石破首相、真価問われる試練の年〜権力の監視者として〜

夕刊フジの休刊は、ジャーナリズム界にとって大きな損失と言えるでしょう。保守論調の強いイメージを持たれがちでしたが、多様な意見を掲載する懐の深さがありました。私自身、長年夕刊フジで政治評論を執筆する機会をいただき、その自由な言論空間を高く評価していました。権力の監視者たるジャーナリズムの在り方について、改めて考えさせられる出来事です。

夕刊フジとの出会い

私が初めて夕刊フジに長文記事を書いたのは、2011年の民主党政権の内紛についてでした。「小沢一郎の次の一手」というタイトルで、当時の政局分析を執筆したことを鮮明に覚えています。以来、「永田町核心リポート」など、様々なテーマで記事を寄稿させていただきました。

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当時の編集者、矢野将史氏(現編集長)の言葉は今も忘れられません。「鈴木さんは保守から革新まで取材して筋が通っている。『筋』こそ一番大事。安倍政権批判だってまったく問題ありません」

この言葉に、ジャーナリストとしての矜持を貫く勇気をいただきました。多様な意見を尊重し、言論の自由を重んじる夕刊フジの姿勢は、他のメディアの模範となるべきものでしょう。

石破首相、試練の年へ

夕刊フジ最後のリポートは、石破首相へのインタビューを通して、現政権の課題と展望を探りたいと思います。石破首相とは20年以上にわたり取材を続けてきました。昨年末には私のBS番組で30分間の対談も実現しました。

首相は現状について、率直な思いを語ってくれました。「一日一日を乗り切っていくしかない。『アジア版NATO』や『地位協定見直し』とか、もちろん言いたい。でも、党内基盤も強くない。一気にやろうとしても実現できない。ならば一つ一つ党内で民主的に議論しながら実現していくしかない」

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慎重さと大胆さのバランス

石破首相は「首相は目的ではなく政策実現のための手段」と語っています。しかし、現状は慎重すぎる姿勢に終始しているようにも見えます。少数与党の国会運営について、「大連立」「不信任案が通ったら解散し衆参ダブル選挙」などの発言が注目されましたが、これは石破首相の理論家としての側面が強く表れた結果と言えるでしょう。

政治評論家の山田一郎氏(仮名)は、「石破首相は高い理想と緻密な分析力を持つ政治家だ。しかし、首相という立場においては、言葉の重みをより意識する必要がある」と指摘しています。首相として、時と場合、そして自身の立場を考慮した発言が求められます。

真価が問われる一年

石破首相にとって、今年はまさに正念場となるでしょう。党内基盤の強化、政策の実現、そして国民からの信頼獲得など、乗り越えるべき課題は山積しています。石破首相の真価が問われる一年となることは間違いありません。

政治ジャーナリストとして、今後も石破首相をはじめとする政治家の動向を注視し、公正な立場で報道を続けていきたいと思います。夕刊フジの休刊は誠に残念ですが、その精神を受け継ぎ、権力の監視というジャーナリズムの使命を果たしていく所存です。