ロシア船、英国領海に40回超侵入 海中インフラ付近航行 英紙調査


 「プーチン露大統領に伝えたい。あなたが何をしているか知っている。我々は英国を守るため、断固とした行動を取る」。英国のヒーリー国防相は22日、議会でこう語り、相次ぐロシア船の侵入に警告を発した。海中インフラ防護のため、今後は哨戒機などによる監視活動を強化するという。

 タイムズ紙は、米IT大手グーグル社などが設立したNPO「グローバル・フィッシング・ウオッチ」と協力し、英国近海を航行する露軍関連の船や、経済制裁の対象の船を特定した。

 ◇工作活動の可能性

 その結果、深海での撮影能力を備えたタグボートや、軍事物資を運ぶタンカーなどが22年以降、40回以上も英国の領海に侵入していたことが分かった。商船の場合も、露軍と協力して工作活動をしている可能性があるという。

 一例として、英北部シェトランド諸島沖への侵入が確認されたロシアのタグボート「ニコライ・チケル」には、海中で金属を切断できる機器が搭載されていた。

 ロシアの海洋調査船「ヤンタル」が英仏海峡に侵入した際は、英海軍艦が近付いて追い払ったという。ヒーリー氏はヤンタルについて、ただの調査船ではなく「海中インフラ情報を収集し、その地図を作製するために活動するスパイ船だ」と非難した。

 ヒーリー氏の指摘に対し、在英ロシア大使館は「非難は受け入れがたい。英国の海底通信にロシアが脅威を与えることは決してない」と主張した。

 欧州の近海ではこの数年、北海やバルト海などで海中インフラの損傷が相次いでいる。昨年12月にフィンランドとエストニアを結ぶ海底ケーブルが損傷した事案は、露産原油を不法運搬する闇タンカー「影の船団」の関与が疑われている。【ロンドン篠田航一】



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