広島国際映画祭実行委員会は、大林宣彦監督(81)の最新作品「海辺の映画館-キネマの玉手箱」をヒロシマ平和映画賞に選んだと発表した。
「海辺の映画館-」は、閉館日を迎えた広島県尾道市の映画館で、戦争映画を見ていた若い男性3人が映画の中へタイムスリップ。中国戦線や沖縄戦、原爆投下直前の広島などをめぐる物語。同委員会事務局の部谷京子代表は「約3時間におよぶ大作だが、戦争と平和を通じてわれわれがどう生きるかの示唆を与えてくれる作品」と受賞理由を説明した。
大林監督は「限りなく誉れとし至福の中におります。痛切な切迫感を皮膚感覚で実感してもらうのに、最も自由で納得しやすいのが芸術=(イコール)映画表現と強く深く信じ、この映画をしつらえました」と喜びの直筆メッセージを寄せた。
この賞は平成28年創設。同映画祭の開催期間(22~24日)中に上映される全約35作品(29年以降に制作)の中から、ヒロシマの心を世界に発信することに最も寄与したと思われる作品を選んでいる。
受賞作は最終日の24日、広島市中区基町のNTTクレドホールで上映予定(要前売り券2千円)。その後、大林監督を迎えて表彰式が行われる。