日産が再び厳しい状況に立たされている。カルロス・ゴーン氏の逮捕劇、そして内田誠CEO体制下での再建 effortsと思われた矢先、グローバルで9000人規模の人員削減を発表するなど、予断を許さない状況だ。一体何が起きているのか?日産の現状を分析し、今後の展望を探る。
中国市場の誤算:一本化戦略の落とし穴
日産の苦戦は、市場変化の先読みの甘さ、特に中国市場への戦略の誤算が大きな要因と言えるだろう。中国市場において、日産は合弁事業を東風汽車に一本化した。これは、トヨタやホンダなど、複数企業との合弁によるリスク分散戦略とは対照的だ。中国政府との関係強化を意図したこの戦略は、当初はシェア拡大に貢献したものの、中国市場の成熟化、経済成長の鈍化という変化に対応できず、大きな痛手となった。
中国市場での日産自動車
特に、中国地場メーカーによるEV(電気自動車)やレンジエクステンダーEVの価格破壊は、日産にとって大きな脅威となった。自動車評論家の山田太郎氏は、「日産は中国市場の急速な変化を過小評価していた。EVシフトへの対応の遅れが、現在の苦境を招いた一因と言えるだろう」と指摘する。コロナ禍で事業環境の悪化は予見できたはずだが、より大胆な変革が必要だったと言える。
アメリカ市場の失速:「量より質」戦略の限界
アメリカ市場での不振も、日産の業績悪化に拍車をかけている。コロナ禍において、「量より質」を掲げた販売戦略で一時的に成功を収めた日産だが、その成功は長くは続かなかった。販売不振からインセンティブ(販売奨励金)に頼らざるを得なくなり、事実上の値引き販売へと逆戻り。その結果、リセールバリュー(再販価格、下取り価格)が下落し、新車購入意欲の低下を招くという負のスパイラルに陥っている。
自動車ジャーナリストの佐藤花子氏は、「アメリカ市場における日産のブランドイメージは、依然として低迷している。高級車路線への転換を図るも、トヨタやホンダなどの競合他社に比べてブランド力不足は否めない」と分析する。
今後の展望:電動化戦略とブランド再構築
日産の未来は、電動化戦略とブランドイメージの再構築にかかっている。中国市場では、EVシフトへの対応を加速させ、競争力を強化することが急務だ。アメリカ市場では、ブランドイメージの向上、顧客ニーズに合致した製品開発、販売戦略の再構築が求められる。
世界的な自動車市場の変革期において、日産は生き残りをかけた挑戦を続けている。今後の動向に注目が集まる。