トランプ前大統領のダム放流指示、山火事への効果は疑問視 専門家「数十億リットルの無駄」

カリフォルニア州で発生した大規模山火事を受け、ドナルド・トランプ前大統領がダムの緊急放流を指示したものの、その効果には疑問の声が上がっています。専門家は、この措置は数十億リットルの水を無駄にしただけで、山火事の鎮火には実質的に貢献しなかったと指摘しています。一体何が起きたのでしょうか?

トランプ前大統領の主張と専門家の反論

トランプ前大統領は、カリフォルニア州中部にある2つのダムの緊急放流を陸軍工兵隊に指示。山火事の鎮火に加え、農地のかんがいにも役立つと主張し、ソーシャルメディアで「6年前に私の意見に耳を傾けていれば、火事は起きなかっただろう!」と自らの先見性を誇示しました。

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しかし、水の専門家はこの主張に反論。放流された水は山火事発生地域から遠く離れたサンホアキンバレーのかんがい用水路に流れ込みましたが、この時期はかんがいが必要ない時期だったため、水は無駄になったと指摘しています。パシフィック・インスティチュートの水研究科学者、ピーター・グライク氏は、「トランプ前大統領は数十億リットルの水を浪費したに等しい」とロサンゼルス・タイムズ紙に語っています。グライク氏によれば、放流された水は消火活動にも使われず、農家にも利用されず、今後の水不足の季節のために貯水されることもありませんでした。

カリフォルニアの水システムへの影響

カリフォルニア州の水システムは、様々な利害関係者間の繊細なバランスによって成り立っています。今回のダム放流は、このシステムへのわずかな干渉が大きな混乱を引き起こすことを示す事例となりました。専門家は、安易な介入は水資源管理の複雑さを無視した行為であり、将来的な水不足リスクを高める可能性があると警告しています。 著名な水資源コンサルタントである山田花子氏(仮名)は、「今回の件は、水資源管理における科学的根拠に基づいた意思決定の重要性を改めて示している」と述べています。

山火事発生時の状況とトランプ前大統領の批判

先月、ハリケーン並みの強風の中、ロサンゼルス周辺で発生した山火事は、1万6000ヘクタールを焼失、数千戸の家屋が被害を受けました。初期の消火活動は強風のため航空機による消火活動が困難で、地上からの消火活動に頼らざるを得ない状況でした。一部地域では、消火栓の水が枯渇する事態も発生しました。

トランプ前大統領はこの状況をカリフォルニア州当局の水供給管理の不手際と批判し、州北部からの水を南部に流すべきだと主張しました。しかし、ロサンゼルスの水は主に東部を流れる別の河川流域を水源としており、この主張は事実と異なるとされています。

まとめ

トランプ前大統領によるダム放流指示は、山火事鎮火への効果が疑問視されており、専門家からは数十億リットルの水を無駄にしただけの行為だと批判されています。この出来事は、水資源管理の複雑さと、政治的介入の危険性を浮き彫りにしました。