やっとのことで渡米した石破総理。絶対に相性が悪いーそう言われてきたトランプ大統領との会談に向け、情報収集に奔走してきた。数々のアドバイスを受け、石破総理がたどり着いた答えは……。
石破が「トランプ対策」の助言を求めたベテラン議員
ついに俺がトランプに会うのか―紆余曲折を経て決まった「日米首脳会談」。その成否が政権の命運を分けるだけに、石破茂総理(68歳)が感じた重圧は並大抵ではなかった。
霞ヶ関のみならず、各方面へ助言を求める中で、石破総理が首相官邸に招き入れたのは、永田町きってのある老練な代議士だった。1月15日午後4時すぎのことである……。
「首脳会談では、あなたとトランプさんの”特別なご縁”について、さりげなく触れたほうがいいんじゃないでしょうか」
初当選が’86年と今や政界でも長老格の総理。数少なくなった「先輩」からそうアドバイスを受けると、頷きつつも、悩ましげな表情でこうボヤいた。
「それもわかるのですが、外務省には外務省の考えっていうものがあってですね……」
宰相はどこか煮え切らない様子だ。それでも、数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテラン議員は構わずにこう続けた。
「まさに天の配剤です。あなたは運がいい」
その言葉に勇気づけられたのか、総理はあのねっとりとした独特の口ぶりで、胸に秘めた”野望”について言葉を紡ぎ始めたのだった―。
石破総理がマスコミ非公開セミナーで明かした本音
「この後、参議院本会議がございまして、6時間、またほとんど一人で答弁をしなければなりません……。ベラベラしゃべっているようにみえて、結構あれはキツイものでございます」
1月29日午前8時、東京・帝国ホテルの宴会場に集まった200名超の聴衆を前に、総理はやはりボヤいていた。多忙な国会日程の合間を縫って駆けつけたのは、昨年9月の総裁選でも自らを支えてくれた衛藤征士郎前衆院議員(83歳)のモーニングセミナー。マスコミ非公開という安心感もあってか”石破節”は止まらない。
「私、『楽しい日本』ということを申しあげて。今日の国会でも(れいわ新選組代表の)山本太郎さんという方から『総理、毎日楽しいですか?』という問いが出てて……。どう答えようかなと思っているのであります」
目指すべき国家像として、「楽しい日本」を掲げる総理。永遠のライバルである故・安倍晋三元総理の「強い日本、豊かな日本」へのアンチテーゼとも指摘される。外交面でも、トランプ氏と強固な信頼関係を築いた安倍氏への対抗意識をのぞかせた。
「『石破とトランプって本当に大丈夫かね。あんまりゴルフやりそうにないし……』みたく言われることがありますが、それはそれで安倍総理は安倍総理の外交、私どもは私どもの外交というものを展開して参ります」