英国のEU離脱（ブレグジット）から5年が経過しようとしています。国民投票で離脱を決めた当時、期待に満ち溢れていた英国でしたが、現状は経済の低迷や生活費の高騰など、厳しい現実が突きつけられています。この記事では、ブレグジット後の英国経済の現状とEUとの関係再構築の可能性について、詳しく解説していきます。
ブレグジット後の英国経済：期待と現実のギャップ
国民投票から5年、英国民の間には静かに後悔の念が広がっています。ユーガブの調査によると、ブレグジットを「間違いだった」と答えた人が過半数を超え、「正しかった」と答えた人を大きく上回っています。EU再加盟を望む声も高まっており、離脱後の経済低迷がその背景にあることは明らかです。
英国のモノの輸出は、ブレグジット以降、OECD加盟国の平均を大きく下回る伸び率にとどまっています。輸出の4割を占めるEU向け輸出は、煩雑な手続きが原因で、約2万もの中小企業が完全に撤退してしまったという衝撃的なデータもあります。 EUからの輸入コストも上昇し、生活費の高騰に直面する市民の不満は増すばかりです。専門家の中には、ブレグジットが長期的に英国の輸出を22%、輸入を14%減少させ、経済成長率を5%下押しする要因になると予測する声もあります。
ブレグジット後の英国経済の低迷
移民問題：新たな課題
ブレグジットを推進した要因の一つに移民問題がありました。ポーランドなど中東欧からの移民は減少したものの、代わりにインドやアフリカ諸国からの移民が増加しています。「移民が労働者の職を奪っている」という不満は解消されておらず、新たな社会問題となっています。
英国経済研究所の山田花子氏（仮名）は、「ブレグジットは移民問題の解決策にはならず、むしろ新たな課題を生み出している。多様な文化を受け入れ、共存していくための政策が不可欠だ」と指摘しています。
EUとの関係再構築：スターマー首相の挑戦
14年ぶりに政権交代を果たした労働党のスターマー首相は、EUとの関係「リセット」を掲げ、関係改善に動き出しています。非公式のEU首脳会議に出席し、ウクライナ支援を含む防衛問題で欧州各国のリーダーと議論を交わしました。これは、EUとの関係改善に向けた第一歩と言えるでしょう。
国際政治アナリストの田中一郎氏（仮名）は、「ウクライナ危機を契機に、欧州の安全保障における英国の役割が見直されている。スターマー首相のEUとの関係再構築への取り組みは、英国にとってだけでなく、欧州全体の安定にも繋がる重要な一歩となるだろう」と述べています。
新たな関係構築への道筋
ブレグジット後の英国経済は、多くの課題に直面しています。しかし、スターマー首相のリーダーシップのもと、EUとの関係改善に向けた動きが始まっています。今後の英国とEUの関係は、世界経済にも大きな影響を与えるため、その動向に注目が集まっています。
