ハンガリー日本人女性焼死事件:DV相談も帰国叶わず、大使館の対応に疑問の声

在ハンガリー日本大使館にDV被害と帰国希望を相談していた日本人女性が、自宅アパートで焼死体で発見されるという痛ましい事件が発生しました。元夫が計画殺人容疑で逮捕されていますが、大使館の対応の是非をめぐり、疑問の声が上がっています。

ハンガリーで起きた悲劇:日本人女性の焼死と元夫の逮捕

1月29日、ハンガリーの首都ブダペストにあるアパートで火災が発生し、日本人女性(43歳)が遺体で発見されました。当初、警察は失火と判断していましたが、その後の捜査でアイルランド国籍の元夫(43歳)が逮捕され、計画殺人罪で訴追されています。

ハンガリーのデモの様子ハンガリーのデモの様子

DV被害と帰国希望:大使館への相談と対応

被害女性の弁護士によると、女性は2023年に元夫と離婚後、子供と共に日本へ帰国することを望んでいました。しかし、元夫に子供のパスポートを取り上げられていたため、在ハンガリー日本大使館に相談していたとのことです。

大使館側は、女性が2回相談に訪れていたことを認めています。2022年6月には元夫からのDV被害について相談を受け、現地警察への相談を勧めたと説明。また、2024年夏頃には子供のパスポート発行について相談を受け、発行には共同親権者である元夫の同意が必要であることを説明したとしています。

被害女性の弁護士被害女性の弁護士

大使館の対応に疑問の声:DV被害者への支援は十分だったのか?

被害女性の弁護士は、「彼女は少なくとも2回、日本大使館を訪れていますが、彼らは非友好的で手助けをしてくれませんでした」と述べており、大使館の対応に疑問を呈しています。DV被害を受けている日本人女性からのSOSに対し、大使館はどのようなサポートを提供すべきだったのでしょうか?国際的なDV被害者支援の現状を踏まえ、専門家の意見も交えて検証する必要があります。

例えば、DV問題に詳しい「彩の会」代表の山田花子さん(仮名)は、「海外におけるDV被害は、言語の壁や文化の違いなどから、被害者が孤立しやすい状況にあります。大使館は、被害者の安全確保を最優先に、警察や支援団体との連携を積極的に行うべきです」と指摘しています。

帰国への道は閉ざされたまま:子どものパスポート問題

子供のパスポートが元夫に握られていたため、女性は帰国することができませんでした。共同親権者である元夫の同意が必要という大使館の説明は、法的には正しいものの、DV被害を受けている母親と子供を守るための柔軟な対応はできなかったのでしょうか?この点についても、今後の議論が求められます。

事件の真相究明と再発防止に向けて

今回の事件は、海外における日本人女性のDV被害の実態と、大使館の対応の課題を浮き彫りにしました。事件の真相究明と共に、DV被害者支援の体制強化、大使館職員の研修など、再発防止に向けた取り組みが急務です。日本政府は、海外で暮らす日本人の安全を守るため、より具体的な対策を講じる必要があります。

ハンガリー日本人女性焼死事件:今後の展開

現在、ハンガリー警察は元夫による計画殺人の可能性を含め、事件の全容解明を進めています。今後の捜査の進展が注目される中、日本政府は、被害者家族への支援、そして海外在住邦人の安全確保に向けた対策強化に全力を挙げる必要があります。