石破政権の窮地:参院選惨敗後、永田町で囁かれる退陣と次の一手

参院選での自公の惨敗からわずか2週間、永田町では石破茂首相の去就が最大の焦点となっています。首相自身は続投への強い意欲を示していますが、政界関係者の間では「もってもあと1カ月」との見方が大勢を占めています。石破政権が直面するこの窮地をいかに乗り越えるのか、あるいは新たな局面を迎えるのか。本稿では、政界関係者の証言と分析に基づき、現在の石破政権が置かれた状況と、今後の展開を巡る様々な観測に迫ります。

責任転嫁と世論の拮抗:石破首相が「退陣」しない理由

通常であれば、このような連敗を喫した首相はすでに退陣に追い込まれているはずですが、石破首相は辞任する気配を全く見せていません。全国紙政治部デスクによると、石破首相自身も、また森山裕幹事長も、一連の政治不信を招いたのは安倍派の責任であると認識しており、自分たちに非があるとは考えていないといいます。

彼らの強気の背景には、世論調査の結果があります。調査では「辞めるべき」という意見と「続投すべき」という意見が拮抗しており、積極的に石破政権を支持する層は少ないものの、「他の人よりはマシ」という消極的な支持が一定数存在していることが彼らを支えています。しかし、永田町では「石破政権はもう詰んでいる」というのが通説です。麻生派、旧茂木派、旧安倍派が一致して反石破の姿勢を強めており、現職閣僚の中からも「さすがに石破さんはもう無理だろう」という本音が漏れてくる状況です。

石破茂首相と小泉進次郎農水相、政局の行方を巡る両氏の動向に注目が集まる石破茂首相と小泉進次郎農水相、政局の行方を巡る両氏の動向に注目が集まる

8月末退陣説の裏側:重要な政治日程と人事の壁

現在、政界で最も盛んに囁かれているシナリオは、8月末での石破首相の退陣説です。8月は6日の広島、9日の長崎での「原爆の日」、15日の「終戦記念日」、そして20日からの横浜での「アフリカ開発会議」(TICAD 9)など、重要な政治日程が立て込んでいます。これらの日程を終え、さらに党内で進められている参院選敗因の検証作業報告がまとまる8月末から、「石破おろし」が本格化すると見られています。

退陣への大きな引き金となるとされるのが、人事の行き詰まりです。9月末には党役員の任期満了を迎え、新たな人選が必要となります。この際、執行部として責任を示す形で森山幹事長が退任すると予測されており、同時に石破政権を支える意欲がないとされる小野寺五典政務調査会長や木原誠二選挙対策委員長も一斉に辞任する可能性が指摘されています。そうなれば、後任が見つからないという前代未聞の事態に陥るかもしれません。これに併せて行われると見られる内閣改造人事も難航必至で、菅義偉内閣が退陣した時と同様のパターンが繰り返される可能性も取り沙汰されています。

参院選惨敗後の永田町で「キングメーカー」として存在感を増す麻生太郎氏のウォーキング姿。今後の石破政権の命運を握る重要人物の一人参院選惨敗後の永田町で「キングメーカー」として存在感を増す麻生太郎氏のウォーキング姿。今後の石破政権の命運を握る重要人物の一人

人事打開の「ウルトラC」:小泉進次郎氏幹事長抜擢の可能性

このような行き詰まった状況を打開する具体的な方策はあるのでしょうか。最大の難関は、森山幹事長の後任人選です。鈴木俊一総務会長の横滑り案も浮上していますが、政治部記者たちの間で「ウルトラC」的な打開策として囁かれているのが、小泉進次郎農水相を幹事長に抜擢する案です。

小泉氏を幹事長に据えることで、党の若返りや刷新感を打ち出し、対外的にもPR効果が期待できるという見方があります。かつて「小石河連合」と呼ばれたように、石破首相とは元々良好な関係を築いており、現在の森山幹事長とも極めて良好な関係を保っているため、抜擢の可能性は十分に考えられます。この「ウルトラC」が、石破政権の命運を左右する一手となるかもしれません。

結論

石破政権は、参院選での大敗後、厳しい政局運営を強いられています。首相自身の続投意欲と世論の複雑な状況、そして党内の反石破勢力の台頭が絡み合い、八月末には人事の壁に直面することが予測されています。この窮地を打開するための「ウルトラC」として小泉進次郎農水相の幹事長抜擢案が浮上していますが、果たしてこれが石破政権を救う一手となるのか、あるいは新たな政治の転換点となるのか、永田町の動きから目が離せません。

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