韓国都市銀行の要注意債権、増加に警鐘 景気低迷で将来の不良債権化リスク高まる

韓国の都市銀行における要注意債権が急増していることが明らかになり、今後の経済動向に不安の影を落としています。景気低迷の長期化により、企業や個人の返済能力が低下し、銀行の不良債権化リスクが高まっているのです。本記事では、韓国の都市銀行の要注意債権増加の現状と、その背景にある経済状況について詳しく解説します。

要注意債権とは?増加の現状

要注意債権とは、まだ不良債権には分類されないものの、将来的に不良債権化する可能性が高い債権のことです。具体的には、元利金の返済が1日から90日滞っている債権などがこれに該当します。韓国4大銀行(KB国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリィ銀行)の要注意債権は、2024年末時点で合計7兆1150億ウォン(約7436億円)に達し、前年末から8230億ウォン増加しました。4大銀行全体の与信に占める要注意債権の割合も0.49%と、前年末の0.47%から0.02ポイント上昇しています。

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銀行別に見る要注意債権の増加

銀行別にみると、ハナ銀行の要注意債権は2024年末には2兆4740億ウォンと、前年末から20.9%増加しました。これは4大銀行の中で最も高い増加率です。KB国民銀行は1.8%増、新韓銀行は13.2%増、ウリィ銀行は13.0%増と、いずれの銀行も要注意債権が増加傾向にあります。

不良債権化リスクの高まり

要注意債権は、返済の遅延が90日を超えると不良債権に分類されます。現在の経済状況を考えると、債務者の返済能力がさらに悪化する可能性があり、要注意債権が不良債権に転落するリスクは高まっていると言えるでしょう。韓国金融専門家のパク・ソンホ氏は、「現在の経済状況は、リーマンショック時よりも深刻な状況になりつつある。企業の倒産や個人の破産が増加し、銀行の不良債権は今後さらに増加するだろう」と警鐘を鳴らしています。

景気低迷の影響

韓国経済は、内需の低迷と建設業の不況が長期化しており、企業業績の悪化や雇用不安が広がっています。これらの要因が、債務者の返済能力を低下させ、要注意債権の増加に繋がっていると考えられます。

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今後の見通し

今後の韓国経済は、世界的な景気後退の影響も受け、さらに厳しい状況となることが予想されます。政府は景気対策を打ち出していますが、その効果は限定的であり、要注意債権の増加傾向は当面続くと見られます。金融機関は、不良債権処理の強化やリスク管理の徹底など、早急な対応が求められています。

消費者の反応

消費者の間でも、経済の先行きに対する不安が広がっています。「生活が苦しく、ローン返済が滞ってしまうのではないか」という声が聞かれるようになってきています。

今後の課題

韓国経済の回復には、内需の活性化と雇用創出が不可欠です。政府は、効果的な経済対策の実施に加え、企業の競争力強化や人材育成など、中長期的な視点に立った政策を推進していく必要があります。