テレビ業界で働く女性アナウンサーやスタッフを取り巻く「飲み会」問題が、大きな注目を集めています。中居正広氏の一件をきっかけに、業界内の慣習やハラスメントの実態が明るみに出つつあります。本記事では、この複雑な問題について、元フリーアナウンサーで現在は映像制作会社を経営する高橋絵理氏の経験談を交えながら、多角的に考察します。
飲み会は本当に「性接待」なのか?
元フリーアナウンサーの高橋絵理さん
高橋氏自身、フリーアナウンサー時代に仕事の飲み会に数多く参加してきました。クライアントや広告代理店、制作スタッフなど、様々な関係者が集まるこれらの飲み会は、業界では日常的な光景です。高橋氏は、これらの飲み会を「番組制作チームの一員として、共に仕事をした仲間と楽しい時間を共有する場」と捉え、決して「接待をさせられている」という感覚はなかったと語ります。
コミュニケーション能力に長け、場を和ませることも得意なアナウンサーは、飲み会の席でも重宝される存在です。高橋氏も、自身の役割を理解し、積極的に飲み会に参加することで、良好な人間関係を築き、仕事にも良い影響を与えてきたと振り返ります。
しかし、最近の報道では、こうした飲み会を「性接待」「献上」「上納」といった言葉で表現するケースも見られます。高橋氏は、これらの言葉に驚きを隠せない一方で、「もしそうした表現を使うのであれば、私も性接待をしてきた側になる」と複雑な心境を吐露しています。
強制的な飲み会の実態
高橋絵理さん
高橋氏自身は、飲み会への参加を強要された経験はないと明言しています。しかし、業界内には「飲み会に来ないと仕事がない」「ポジションを奪う」といった脅迫まがいの誘い文句で、女性アナウンサーやスタッフを飲み会に強制参加させるケースも存在する可能性を否定できません。
テレビ業界で働く女性全員が、こうしたハラスメント被害に遭っているわけではないものの、一部では深刻な問題となっている可能性があります。例えば、メディア文化評論家のA氏(仮名)は、「テレビ業界の権力構造を利用したハラスメントは、長年にわたり隠蔽されてきた可能性が高い」と指摘しています。
今後の展望:健全な職場環境の実現に向けて
飲み会そのものを全面的に禁止するのではなく、業界全体でハラスメントに対する意識改革を進めることが重要です。高橋氏は、飲み会でのコミュニケーションが仕事にプラスの影響を与えることもあるとしながらも、参加を強制したり、不適切な言動を容認するような風潮は根絶すべきだと訴えています。
企業側も、コンプライアンス研修の徹底や相談窓口の設置など、具体的な対策を講じる必要があります。また、業界団体が中心となり、ハラスメント防止のためのガイドラインを作成することも有効な手段となるでしょう。
真に風通しの良い、健全な職場環境の実現に向けて、業界全体で真摯に取り組む必要があると言えるでしょう。