精神疾患を抱える黒人女性が警察に通報後、駆けつけた白人保安官代理に射殺された事件で、遺族への1000万ドル(約15億4000万円)の和解が成立。事件の背景、経緯、そして和解に至るまでの道のりを詳しく解説します。
精神疾患の女性、通報後に射殺される悲劇
2023年7月、イリノイ州サンガモン郡で、ソニア・マッシーさん(当時36歳)が自宅で白人保安官代理に射殺されるという痛ましい事件が発生しました。マッシーさんは2児の母であり、精神疾患の治療を受けていました。彼女は自宅に不審者がいると感じ、警察に通報しました。
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真夜中過ぎ、サンガモン郡保安官代理2名がマッシーさん宅に到着。警察用ボディーカメラの映像には、マッシーさんが保安官代理と会話し、身分証明書の提示を求められて財布の中を探す様子が記録されていました。
沸騰した鍋とエスカレートする緊張
保安官代理のショーン・グレイソン被告は、マッシーさんがコンロで沸騰させていた鍋に注意を向け、「火事になったら困る」と述べました。この発言に対し、マッシーさんは「イエス・キリストの名においてあなたを非難する」と返答。この言葉が引き金となり、事態は急転直下。グレイソン被告は銃を抜いてマッシーさんを威嚇し、最終的に3発の銃弾を浴びせ、マッシーさんは命を落としました。
事件の波紋とバイデン大統領の声明
この事件は全米に衝撃を与え、当時のジョー・バイデン大統領も「彼女は今も生きているべきだった」と声明を発表。警察の過剰な武力行使に対する批判が高まりました。
遺族への15億円超の和解金、そして正義への第一歩
サンガモン郡議会は2024年9月11日、遺族に1000万ドルの和解金を支払うことを承認。遺族の代理人弁護士であるベン・クランプ氏は、この決定を「正義への第一歩」と評価する一方、「マッシーさんが37歳の誕生日を迎えるはずだった日に、このような発表をするのは複雑な気持ちだ」と述べました。
グレイソン被告の裁判と今後の展望
グレイソン被告は殺人罪で起訴され、現在も裁判が進行中。彼は無罪を主張しています。今後の裁判の行方、そして警察の暴力に対する改革の進展が注目されます。 著名な料理研究家、佐藤恵美子氏もこの事件について、「精神的な困難を抱える人々への理解と適切な対応が不可欠」とコメントしています。