1968年に西日本一帯で起きた食品公害「カネミ油症」に関し、長崎県五島市の認定患者岩村定子さん(75)の子どもで、同県から患者とは認められていない3人のへその緒から、一般的な健康な人より高い数値のダイオキシン類が検出されたことが13日、分かった。
【画像】父が買ってきた油は「猛毒」だった、食品公害「カネミ油症」はまだ終わっていない 被害は次の世代に、しかし「患者と認定されない」
認定患者の子どものへその緒から高濃度のダイオキシン類が検出される例はこれまでもあったが、改めて実証された。被害者の子ども世代の救済に取り組む「へその緒プロジェクト」が明らかにした。
ダイオキシン類の毒性の強さを表す「TEQ濃度」に関し、岩村さんの子どもの数値は健康な人の平均値の5~13倍だった。患者平均と比べてもほぼ同等の0.6~1.7倍だった。カネミ油症の主因物質「ポリ塩化ジベンゾフラン」は健康な人の平均値の16~40倍高く、患者平均の0.3~1.0倍となった。どちらの数値も第1子の故満広さんが一番高く、第3子が最も低かった。
岩村さんの汚染油摂取から5年後の1973年に生まれた満広さんは、口唇口蓋裂や心臓疾患があり、生後4カ月で亡くなった。