小学校受験ブームの真相:なぜ公立中学を避ける親が増えているのか?

少子化にも関わらず、首都圏を中心に中学受験熱は高まり続けています。受験者数は5万人から6万人と高止まりしており、80年代の3万人台と比べるとその過熱ぶりが分かります。芸能人の間でも中学受験の話題が取り上げられるようになり、社会現象と言えるでしょう。 一体なぜ、これほどまでに中学受験が過熱しているのでしょうか?そして、なぜ一部の保護者は「公立中学だけは避けたい」と考えるのでしょうか? この記事では、その背景にある親たちの思いを探ります。

中学受験の動機:3つのタイプ

中学受験を専門とする塾講師や家庭教師によると、私立中学受験に積極的な小学生には大きく分けて3つのタイプがあると言われています。

一つ目は、宗教的な理由です。例えば、キリスト教徒の家庭では、子供をキリスト教系の私立中学に進学させるケースが多いようです。

二つ目は、家系的理由です。早稲田、慶應、明治、立教といった関東の有名私立大学、あるいは同志社、立命館といった関西の有名私立大学の付属中学には、祖父、父と代々同じ学校に通ってきたという生徒も少なくありません。

三つ目は、ギフテッド(天才児)や発達障害など、特別な支援が必要な子供たちです。近年、ギフテッドや発達障害の子供に理解のある私立中学の情報提供を行うサイトも増えてきています。

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公立中学離れの背景:2006年以降の急速な変化

上記の3つの理由は、比較的理解しやすいものです。しかし、「特定の私立中学を目指している」という子供ではなく、「公立中学だけは避けたい」という保護者の増加は、賛否両論を巻き起こしています。

地方では、地元の公立小学校から地元の公立中学校に進学し、高校受験で初めて進学校を目指すという進路が一般的です。札幌、仙台、新潟、広島、福岡といった地方都市でも中学受験をする生徒はいますが、それでも大多数は公立中学を選択します。 中学受験が過熱しているのは、首都圏と関西圏に限られた現象と言えるでしょう。

教育評論家の親野智可等氏(仮名)は、公立小学校で23年間教師を務めた経験を持ち、「親力で決まる子供の将来」というメールマガジンは4万5000人以上の読者を持つ人気です。ベストセラー書籍も多数出版しています。親野氏は、一部の保護者の間で公立中学校に対する評価が急速に下落したのは2006年以降だと指摘しています。

なぜ公立中学を避けるのか?保護者の不安と期待

では、なぜ2006年以降、公立中学を避ける保護者が増えたのでしょうか? 様々な要因が考えられますが、学力低下への懸念、いじめ問題への不安、そして多様化する教育ニーズへの対応不足などが挙げられます。 私立中学は、独自のカリキュラムや少人数制教育、手厚い進路指導など、保護者の期待に応える様々な特徴を打ち出しています。

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まとめ:中学受験ブームの行方

中学受験の過熱化は、教育を取り巻く環境の変化を反映しています。 保護者の意識の変化、教育格差の拡大、そして多様化する教育ニーズなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。 今後、中学受験を取り巻く状況はどのように変化していくのでしょうか? そして、子供たちにとって最適な教育環境とはどのようなものでしょうか? これらの課題について、引き続き考えていく必要があるでしょう。