ミュンヘン安全保障会議で、トランプ米政権がウクライナ停戦交渉を欧州抜きで進める方針を表明し、欧州各国に衝撃が走りました。米国は欧州の移民対策やSNS規制への懸念、更にはウクライナ支援の実効性のなさを批判。欧州側は自省の弁を述べるも具体的な打開策は見出せず、ウクライナ情勢を巡る米欧間の溝が浮き彫りとなりました。
米国、欧州の「内なる脅威」とウクライナ支援の「無残な失敗」を批判
ミュンヘン安全保障会議で、バンス米副大統領は欧州の移民対策やSNS規制を「内なる脅威」と批判。ウクライナ・ロシア担当のケロッグ米特使は、停戦交渉への欧州参加を否定し、米露ウクライナの3者協議の必要性を主張しました。
ケロッグ氏は、欧州による過去のウクライナ支援を「無残な失敗」と断じ、2014年と15年のミンスク合意の不実効性を指摘。NATO加盟国の防衛費増額の遅れや、ロシアのクリミア占領への対応の甘さを非難しました。
ゼレンスキー大統領とペンス副大統領
ゼレンスキー大統領、米国の支援と欧州の変化を訴える
ウクライナのゼレンスキー大統領は、米国の支援の重要性を強調し、米国との関係維持に腐心する姿勢を見せました。同時に、バンス副大統領の批判に同調し、欧州の変化の必要性を訴え、「欧州軍」創設という新たな構想も提示しました。
欧州側の反応は鈍く、具体的な提案はなし
欧州側からは現状への反省の言葉は聞かれたものの、具体的な提案は出ませんでした。欧州軍構想についても、ポーランドのシコルスキ外相は「ありえない」と否定的な見解を示しました。
ゼレンスキー大統領とペンス副大統領の会談
ウクライナ情勢、米欧の溝深まる
今回のミュンヘン安全保障会議は、ウクライナ情勢を巡る米欧間の認識のずれを改めて浮き彫りにしました。米国は欧州の主体性と実効性を疑問視し、欧州は米国の単独行動主義に懸念を抱いています。今後のウクライナ情勢の行方は、米欧間の協力関係の再構築にかかっていると言えるでしょう。国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「米欧間の不信感は、ウクライナだけでなく、国際社会全体の安全保障にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘しています。