山形県米沢市の温泉旅館「西屋」が、無断駐車による日帰り入浴営業の休止をX(旧Twitter)で報告し、大きな反響を呼んでいます。スキー場へのアクセスに便利な立地ゆえのトラブル、その背景にある雪国ならではの事情、そして旅館側の苦悩に迫ります。
無断駐車で日帰り入浴が休止に…旅館の悲痛な訴え
2024年2月15日、16日と週末の好天に恵まれ、全国のスキー場は多くのスキーヤーやスノーボーダーで賑わいました。しかし、山形県米沢市の天元台高原スキー場にほど近い温泉旅館「西屋」では、嬉しいはずの週末が思わぬ事態に。
記録的な大雪により、例年よりも狭くなった駐車場に無断駐車が相次ぎ、日帰り入浴客のための駐車スペースが確保できなくなったのです。旅館は泣く泣く16日の日帰り入浴営業を休止せざるを得ませんでした。
無断駐車でバリケードされた駐車場
西屋旅館の女将、遠藤央子さんはXで無断駐車への嘆きを投稿。多くの共感を呼び、4万件以上の「いいね」がつきました。旅館側は、やむを得ず除雪車などを使って駐車場の出入り口を封鎖するという措置を取りました。
スキーブームの裏側…雪国ならではの駐車場事情
遠藤さんによると、無断駐車していたのは3台。うち2台は県内ナンバー、1台は宮城県からのレンタカーでした。いずれも事前の連絡はなく、スキー場から戻ってきたドライバーには「営業妨害になり得る」と厳重注意を行ったとのこと。
今回の騒動の背景には、記録的な大雪による駐車場不足という深刻な問題があります。例年の倍以上という積雪量により、旅館の駐車場は本来の15台から7、8台程度しか駐車できない状態に。さらに、無断駐車車両の駐車方法にも問題があり、スペースをさらに圧迫していたそうです。
「雪が降れば降るほど嬉しいわけではない」と語る遠藤さん。雪はスキー場にとって恵みである一方、除雪した雪の置き場確保など、雪国ならではの苦労もあるようです。天元台高原スキー場も駐車場が満車状態となり、雪の影響はスキー場全体に及んでいることが分かります。
専門家の見解:無断駐車は違法行為になる可能性も
駐車場経営コンサルタントの山田太郎氏(仮名)は、「スキー場周辺の駐車場不足は深刻な問題です。無断駐車は旅館だけでなく、他の利用客にも迷惑をかける行為であり、場合によっては違法行為とみなされる可能性もあります」と指摘しています。
モラルとマナー…スキーヤーに求められる責任
旅館側は無断駐車対策として「罰金」の張り紙を設置しましたが、遠藤さんは「お金が欲しいわけではない。モラルを守ってほしい」と強調。お金を払えば駐車しても良いという誤解を招くことを懸念しています。
旅館の駐車場
気象庁によると、今後も大雪が予想されています。スキーヤーやスノーボーダーにとって雪は恵みですが、だからこそマナーとモラルを守り、ウィンタースポーツを楽しむことが求められています。
今後の対策と課題
今回の出来事は、スキー場周辺の駐車場不足という課題を改めて浮き彫りにしました。旅館側だけでなく、スキー場や自治体も連携し、駐車場の確保やマナー啓発など、総合的な対策が必要となるでしょう。
スキーヤー一人ひとりが責任感を持って行動することで、誰もが快適にウィンタースポーツを楽しめる環境づくりを目指したいものです。