【推し活】の深層心理:アイドルの「キャラ」と「ほんとうの私」

近年、性格診断や星座占い、MBTIなど、自分をカテゴライズするツールが人気を集めています。そして、エンターテイメントの世界でも、「推し活」という形で特定のキャラクターやアイドルに傾倒する人が増えています。しかし、これらの「キャラ」に囲まれた中で、私たちは「ほんとうの私」を見失っていないでしょうか?この記事では、「推し活」を通して、現代社会における「キャラ」の過剰摂取と自己同一性の問題について深く掘り下げていきます。

「キャラ」で彩られたアイドル文化

現代のアイドルグループでは、各メンバーに「クール担当」「お姉さんタイプ」といった明確なキャラクターが設定されていることが一般的です。ファンは、まるでアニメキャラクターのように属性分けされたアイドルの中から「推し」を選び、応援します。

アイドルグループのライブ写真アイドルグループのライブ写真

ファンはSNSでのアイドルの発言や動画をもとに、二次創作のように「〇〇ちゃんはこういう子だよね!」とキャラ設定を深掘りし、共有します。これは、MBTIの「INFPあるある」といった特定の性格タイプの特徴を語るオンラインコミュニティと似ています。「推し活」とは、いわばアイドルをアニメーション化する行為と言えるでしょう。

「推し活」の光と影:理想と模範

「推し活」は、必ずしも悪いものではありません。アイドルの努力や才能、個性に刺激を受け、自分も頑張ろうと思えるなど、ポジティブな影響を与えることもあります。例えば、料理研究家の小林香織さん(仮名)は、「アイドルのステージパフォーマンスを見て、自分も料理で人を感動させたいというモチベーションが上がった」と語っています。

しかし、アイドルの「キャラ」を過剰に理想化すると、問題が生じる可能性があります。例えば、「完璧なアイドル像」に固執し、現実の自分とのギャップに苦しむ人もいるかもしれません。心理学者の田中一郎氏(仮名)は、「憧れを持つことは大切だが、現実とのバランスを見失わないように注意が必要だ」と指摘しています。

ファンが撮影したアイドルの写真ファンが撮影したアイドルの写真

重要なのは、アイドルから何を学び、どのように模範として取り込むかです。彼らの努力や情熱、ファンへの思いなど、見習うべき点はたくさんあります。しかし、「キャラ」そのものを盲目的に追いかけるのではなく、自分自身の個性や価値観を大切にすることが重要です。

「ほんとうの私」を探す旅

「キャラ」に囲まれた現代社会で、「ほんとうの私」を見つけるのは容易ではありません。しかし、「推し活」を通して自分自身と向き合い、自分の好きなもの、大切にしたいものを再発見するきっかけになるかもしれません。

「推し」のどんなところに惹かれるのか、なぜ応援したいと思うのか、深く考えてみることで、自分自身の価値観や人生の目標が見えてくるかもしれません。そして、それは「ほんとうの私」に近づくための第一歩となるでしょう。