避けていたら「詰めろ!」とクラクション
道路の至るところで見かける「白い斜線が白い枠線で囲まれた部分」について、正しく認識しているドライバーばかりではないようです。
2023年7月、SNSで1枚の写真とともに「クラクション鳴らされてます。何か悪い事してるかな」というコメントが更新され話題になりました。
その写真には、投稿者が白い車線が「長方形の白い枠線で囲まれた斜線」標示の手前で停車している様子が写っており、その投稿者の後ろのクルマがクラクションを鳴らしたようです。
実は、ひとくちに「道路の斜線」といっても、複数の種類があってややこしいです。それぞれ見ていきましょう。
■白枠に白斜線(中央が空いている)・・・停止禁止部分
おもに消防署や警察署など緊急車両が出入りするところや、路面電車の進行の妨げとなる部分などに、道路車線いっぱいに標示されています。
この標示上で停止することは、信号待ちであっても禁止されています。
先述の標示はまさにこれで、後ろのドライバーは意味を知らずに「おい!空いているだろうが!前に詰めろや!」とブチギレてクラクションを執拗に鳴らしたと思われます。投稿者は意味を知っているので「いやいや、詰めたら停止禁止エリアで停止することになるでしょ」と、クラクションを無視したわけです。
■白枠に白斜線(枠内全体に斜線がある)・・・便宜上のペイント
交差点の手前や高速道路の合流部分の手前などにあり、車線をまたぐものではなく、あくまでラインが膨らんだような存在です。
正式名称は「導流帯」、一般的に「ゼブラゾーン」と呼ばれています。これは、交通を安全・円滑に誘導するために、視覚的にクルマが通らないようにしている部分となります。
ゼブラゾーンは道路交通法では車両の通行、停車を禁止していません。ゼブラゾーンを走行しても、取締りの対象になりません。
なお、無視して踏みまくってもいいかというと、その目的上、他車の円滑な通行の支障となる場合があります。
また一例として、宮崎県の交通規則では「ペイントによる道路標示の上にみだりに車輪をかけて、車両(牛馬を除く。)を運転しないこと」と定めていますので、やむを得ない事情が無ければ踏むのは避けたほうがいいでしょう。
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道路交通法第50条2では、「車両等は、その進行しようとする進路の前方の車両等の状況により、横断歩道、自転車横断帯、踏切又は道路標示によって区画された部分に入った場合においてはその部分で停止することとなるおそれがあるときは、これらの部分に入ってはならない。」と定められ、停止禁止部分での停車および立ち入り禁止部分、安全地帯への進入は罰則の対象となります。
停止禁止部分についての違反は、5万円以下の罰金の刑事罰、および「緊急車妨害等」違反の反則金6000円、違反点数1点の行政処分となり、立ち入り禁止部分についての違反は、通行禁止違反の反則金7000円、違反点数2点となります。
クルマの運転は”捕まらない”ようにするのではなく、円滑で安全な交通ができるよう配慮したいものです。
佐藤 亨