中国とロシアの貿易:蜜月関係の行方は?

中国とロシアの貿易額が過去最高を更新しました。ウクライナ侵攻後、西側諸国からの制裁を受けたロシアにとって、中国は重要な貿易相手国となっています。特に、割安となったロシア産原油の輸入増加が中国の貿易額を押し上げています。2024年の両国の貿易総額は2448億ドル(約37兆円)に達し、経済的な結びつきが強まっていることが鮮明となりました。

ロシア産原油への依存:中国のジレンマ

中国はエネルギー安全保障の観点から、特定の国への過度な依存を避けたいと考えています。経済日報などの中国メディアでは、ロシア産原油への依存度が高まっている現状を指摘し、資源調達先の多様化を求める声が上がっています。中国の貿易統計によると、原油輸入に占めるロシアの割合は、2021年の15.5%から2024年には19.6%に上昇しました。今後もロシア産原油の輸入は続くと予想されますが、既に一定の割合に達しており、中国政府内でも懸念の声が出ているようです。

中国とロシアを結ぶ国際貨物列車中国とロシアを結ぶ国際貨物列車

天然ガス:新たな懸念材料

天然ガスについても、ロシアへの依存度は既に2割を超えていると見られています。中国国内では、ロシア産ガスの輸入拡大に慎重な姿勢が見え始めており、今後の動向が注目されます。北京の専門家は、エネルギー源の多様化は中国にとって喫緊の課題であると指摘しています。中東やアフリカなど、他の地域からの資源調達を強化することで、エネルギー供給の安定化を図る狙いがあるとみられます。

米中関係:貿易の行方を左右する影

米中関係も、中ロ貿易の行方を左右する重要な要素です。米国による対ロ制裁を受け、既に一部の中国国有銀行はロシアとの取引を停止しています。中国は米国との関係悪化を避けたいと考えており、過度な対ロ接近はリスクを伴います。専門家は、中国が米国の動向を注視しながら、ロシアとの貿易バランスを調整していくと分析しています。今後の米中関係の推移によっては、中ロ貿易の拡大にブレーキがかかる可能性も否定できません。

中国のエネルギー戦略:多様化への模索

中国は、長期的視点に立ったエネルギー戦略を推進しています。国内での資源開発を強化する一方で、輸入先を多様化することで、エネルギー安全保障を確立しようとしています。ロシアとの関係を維持しつつも、中東、アフリカ、そして他の地域との連携を強化することで、バランスの取れたエネルギー供給体制を構築していくことが、中国の今後の課題と言えるでしょう。