リニア中央新幹線2037年開業は本当に実現するのか? 課題山積で先行き不透明

リニア中央新幹線。夢の超特急として期待を集める一方、2037年の開業予定は本当に実現可能なのか、不安の声も聞こえてきます。本記事では、開業を阻む大きな壁となっている静岡県との協議の現状、そして見落とされがちな新たな課題について掘り下げ、リニアの未来を展望します。

静岡県との対話、進展はあるも課題は山積

静岡県とJR東海との間で続くリニア中央新幹線建設に関する協議。2025年度当初予算案の提案説明の中で、鈴木康友知事は28項目の対話項目のうち5項目が完了したと発表しました。一見進展しているように見えますが、残る23項目に加え、実はリストに載っていない重要な課題が複数存在し、予断を許さない状況です。

見過ごされている長野県への湧水流出問題

その中でも特に懸念されるのが、長野県への湧水流出問題です。山梨県への湧水流出については「田代ダム案」で一応の合意に至りましたが、長野県側への湧水流出への対策は未だ白紙の状態。28項目の課題にも含まれておらず、協議すら始まっていないのが現状です。

静岡県と山梨県、長野県の位置関係を示した地図静岡県と山梨県、長野県の位置関係を示した地図

静岡県は、山梨県への湧水流出と同様に、長野県への湧水流出についてもJR東海に対応を求める構えです。 専門家の中には、「長野県への湧水流出問題は、山梨県への流出よりも複雑な地質構造を抱えているため、解決はさらに困難を極める可能性がある」と指摘する声も上がっています。(鉄道ジャーナリスト 山田一郎氏)

開業遅延は避けられない?

山梨県側への湧水問題でさえ長期間の協議を要しました。長野県への湧水流出問題が加わることで、開業時期がさらに遅れることは避けられないでしょう。リニア中央新幹線の実現には、JR東海が静岡県、そして長野県との合意形成を急ぐことが不可欠です。

今後の展望と課題

リニア中央新幹線は、日本の未来を担う一大プロジェクトです。しかし、環境問題への配慮を欠いたままでは、真の成功とは言えません。JR東海には、地元の理解と協力を得ながら、持続可能な開発を進めていく姿勢が求められます。

まとめ:2037年開業への道のりは険しい

28項目の課題解決に加え、長野県への湧水流出問題など、リニア中央新幹線開業への道のりは依然として険しい状況です。今後のJR東海と静岡県、そして長野県との協議の行方が、開業の成否を握っていると言えるでしょう。