ANAホールディングスが過去最大規模となる77機の航空機発注を発表しました。ボーイング、エアバス、エンブラエルの3社から、国際線拡大と国内線需要変動への対応を強化するため、2028年度から2033年度にかけて順次導入予定です。この大胆な投資は、日本の航空業界にどのような影響を与えるのでしょうか?
国際線強化へ、ボーイング787シリーズを主力に
ANAは、ボーイングから787-9を18機、787-8を12機(うちオプション4機)発注しました。これらの787シリーズは中長距離路線の主力機となり、国際線における同シリーズの割合は現在の約55%から約71%にまで増加する見込みです。座席利用率と収益性の向上を目指し、成長著しい国際線市場での競争力を強化します。航空業界アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「787シリーズへの集中投資は、燃料効率の向上と運航コストの削減にも繋がり、ANAの収益力強化に大きく貢献するでしょう」と分析しています。
ANAの機体。2020年10月、羽田空港で撮影
国内線はエンブラエルE190-E2で需要変動に柔軟に対応
国内線においては、エンブラエルからE190-E2を20機(うちオプション5機)導入します。100席クラスの小型機E190-E2は、現在ANAが保有していない機材であり、需要変動への柔軟な対応を可能にします。国内線の中小型機比率は約85%から約90%に高まり、路線ごとの最適な機材配置を実現することで、効率的な運航体制を構築します。
エアバスA321neo/XLRも導入、多様なニーズに対応
さらに、エアバスからはA321neoを24機、A321XLRを3機発注。これらの機体は、中距離路線や地方路線での需要に対応し、ネットワークの拡充に貢献します。A321XLRは特に長距離運航が可能で、新たな路線展開の可能性を広げます。これらの機材導入により、多様化する旅客ニーズへの対応力が高まると期待されています。旅行ジャーナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「多様な機材を導入することで、様々な路線や顧客層に合わせたサービス提供が可能になります。これは、顧客満足度向上に繋がる重要な戦略と言えるでしょう」と述べています。
総額2兆円超の投資、ANAの未来への展望
今回の発注額は、カタログ価格で約2兆1580億円に上ります。ANAグループ全体の運用機数は、2023年度の278機から2030年度末には約320機に増加する予定です。この大規模な投資は、コロナ禍からの回復を目指すANAの強い成長意欲を示すものと言えるでしょう。ポストコロナ時代を見据え、国際線拡大と国内線需要への柔軟な対応を強化することで、ANAは更なる成長を目指します。