海上自衛隊の護衛艦「あきづき」が2月上旬、自衛隊単独で初めて台湾海峡を通過したことが明らかになりました。昨年9月の「さざなみ」に続き、海自艦艇による台湾海峡通過は2例目となります。東シナ海・南シナ海における中国の軍事活動の活発化を受け、日本政府は航行の自由を明確に示す姿勢を強めています。
中国の海洋進出を背景に、日本は航行の自由をアピール
中国は近年、沖縄県・尖閣諸島周辺海域での活動に加え、昨年12月には軍艦と海警局の船による沖縄本島と宮古島間の共同航行、76ミリ砲搭載の海警船の尖閣周辺接続水域航行など、挑発的な行動をエスカレートさせています。こうした状況を鑑み、日本政府は「あきづき」の台湾海峡派遣を決定しました。
海上自衛隊の護衛艦「あきづき」
国際法に基づく航行の自由
台湾海峡は国際法上、どの国の領海にも属さない国際水域とされています。沿岸国の主権が及ぶ領海は基線から12海里(約22キロメートル)ですが、台湾海峡の最狭部でも約130キロメートルあるため、航行の自由が認められています。日本政府もこの立場を明確にしています。
歴代政権の姿勢転換
これまで日本は中国への配慮から、海自艦による台湾海峡通過を控えてきました。しかし、中国の軍事力増強や台湾への圧力強化を受け、航行の自由を積極的にアピールする方向へと舵を切りました。昨年9月の「さざなみ」派遣時には、オーストラリア、ニュージーランドの艦艇も同時に通過しており、国際的な連携も強化されています。
日米豪比共同訓練への参加
「あきづき」は台湾海峡を北から南へ通過後、2月5日には南シナ海で実施された日米豪比共同訓練に参加しました。この訓練は、海洋安全保障における協力関係を強化する狙いがあると見られています。
台湾海峡の地図
今後の展望
中国の海洋進出が加速する中、日本は国際法に基づく航行の自由を堅持していく方針です。今後も、同盟国・友好国との連携を強化しながら、地域の平和と安定に貢献していくことが求められています。