もちもち食感の営業秘密、1億円訴訟へ!神戸の生パスタメーカー、シマダヤを提訴

神戸の生パスタメーカーである神戸瑞穂本舗が、大手食品メーカーのシマダヤに対し、独自開発の「もちもち食感」の営業秘密を不正に使用されたとして、1億円の損害賠償と商品の製造・販売差し止めを求める訴訟を神戸地裁明石支部に起こしました。長年築き上げてきた「もちもち食感」の秘密が、ビジネスの舞台裏でどのように争われているのか、紐解いていきます。

食感の秘密をめぐる攻防

神戸瑞穂本舗は、レストランやスーパーなどで使用される業務用の生パスタ「もっちもちの生パスタ」を製造・販売しています。同社は、その独特の「もちもち食感」を生み出すために、長年の研究開発を経て独自の原材料配合と製法を確立しました。この「もちもち食感」こそが、同社の競争力の源泉であり、大切に守られてきた企業秘密です。

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2013年8月、神戸瑞穂本舗は生産効率向上のため、「もっちもちの生パスタ」の製造をシマダヤに委託することを決定し、秘密保持契約を締結しました。シマダヤは、この契約に基づき、神戸瑞穂本舗の「もちもち食感」の製法に関する機密情報へのアクセス権を得ることとなりました。委託製造は2021年まで続けられました。

しかし、シマダヤは契約締結の翌年から「ゆであげ生パスタ」という類似商品を販売開始しました。神戸瑞穂本舗は、この「ゆであげ生パスタ」が、自社の「もちもち食感」の製法を不正に使用したものであると主張しています。

きっかけはプレゼンテーションでの試食

事態の発覚のきっかけは、昨年行われた顧客向けのプレゼンテーションでした。神戸瑞穂本舗の担当者がシマダヤの「ゆであげ生パスタ」を試食したところ、自社の「もっちもちの生パスタ」と酷似していることに気づきました。さらに、原材料表示を確認すると、両社の製品の原材料が同一であることが判明したのです。

この発見は、神戸瑞穂本舗に大きな衝撃を与えました。長年かけて開発した「もちもち食感」の秘密が、信頼していた委託先のシマダヤによって不正に利用されていた可能性が浮上したのです。

専門家の見解

食品業界に精通したA氏(仮名)は、「食品業界では、独自の製法や配合は重要な知的財産であり、厳格に保護されるべきだ」と指摘します。「もしシマダヤが神戸瑞穂本舗の営業秘密を不正に使用していたとすれば、これは業界全体への信頼を損なう重大な問題だ」と警鐘を鳴らしています。

今後の展開

シマダヤ側は、「訴状を確認できていないためコメントできない」としています。今後の裁判の行方、そして「もちもち食感」の秘密をめぐる争いがどのように決着するのか、注目が集まります。

神戸瑞穂本舗の提訴は、食品業界における知的財産の保護の重要性を改めて問うものとなるでしょう。この訴訟の結果は、今後の業界全体の動向にも大きな影響を与える可能性があります。