安倍晋三首相が策定を指示した経済対策は、台風などの自然災害や米中貿易摩擦による世界経済の減速リスクなど、政府がみずからコントロールできない想定外の要素への対応が柱となる。悪影響の拡大を食い止められなければ日本の景気を腰折れさせかねず、財政再建との両立にも目配りした「政策総動員」での対応が求められる。
「日本経済への悪影響が生じることに備え、あらかじめ万全の対策を講じる」。西村康稔経済再生担当相は8日の記者会見で、経済対策の狙いをこう説明した。日本経済については、「基調として景気が緩やかに回復しているという認識に変わりない」と述べ、アベノミクスがうまくいっているとの見方を示した。
経済の喫緊の課題は、台風被害からの復旧・復興やそれを踏まえた全国的なインフラ整備だ。政府関係者は台風19号について、「河川の水が堤防を越えて町に流れ込むなど、想定以上の事態が多かった」と話す。
水害で物流網や工場が損傷すれば生産力が低下し、企業の投資意欲や消費者心理の冷え込みにもつながる。政府は経済的な観点からも、災害に強い国土作りを強めたい考えだ。