韓国の最新研究で、自殺の主要因とされるうつ病よりも、人格障害の方が自殺リスクが高いことが明らかになりました。この衝撃的な結果を受け、改めて人格障害への理解と早期発見・治療の重要性が浮き彫りになっています。
韓国の大規模調査で明らかになった自殺リスクの現実
サムスンソウル病院のチョン・ホンジン教授率いる研究チームは、韓国国民健康保険公団の膨大なデータを活用し、2009年に健康診断を受けた20歳以上の約400万人を対象に、2021年12月までの長期にわたる追跡調査を実施しました。その結果、約26万人が精神疾患を経験し、1万2290人が自殺で亡くなっていたことが判明しました。
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精神疾患別の自殺リスク比較:人格障害が突出
精神疾患別に自殺リスクを分析したところ、人格障害を持つ人は健康な人に比べて自殺リスクが7.7倍にも上ることがわかりました。これは、他の精神疾患と比較しても突出しており、双極性障害(6.05倍)、統合失調症(5.91倍)、強迫性障害(4.66倍)よりも高い数値です。うつ病は2.98倍で、人格障害の自殺リスクの高さが際立っています。
さらに、「1000人年あたりの自殺発生率」でも、人格障害を持つ人は2.49人と最も高く、全体平均の0.28人を大幅に上回っています。
人格障害:理解と支援の必要性
人格障害は、思考や行動の歪みによって社会生活に深刻な支障をきたす疾患です。自己認識の欠如から、自身で問題を認識することが難しく、診断や治療に至らないケースも多いのが現状です。
著名な精神科医、イ・ミンジェ先生(仮名)は、「人格障害は、周囲の人からの指摘や、生活上の困難を通じて初めて気づく場合が多い」と指摘します。早期発見のためには、周囲の理解と適切なサポートが不可欠です。
早期診断・治療体制の構築が急務
チョン教授は、「人格障害の早期診断と治療体制の整備が急務である」と強調しています。また、社会全体で人格障害への理解を深め、支援体制を構築していくことが重要です。
この研究結果は、人格障害に対する社会の認識を変える必要があることを示唆しています。 家族や友人、同僚など、周囲の人が人格障害について理解を深め、適切なサポートを提供することで、悲劇を防ぐことができるかもしれません。