ウクライナ紛争勃発から3年。出口の見えない状況が続く中、和平への期待と不安が交錯しています。本記事では、2025年4月に離任予定のセルギー・コルンスキー駐日ウクライナ大使へのインタビューを通して、紛争の現状、和平への展望、そして日本への期待について深く掘り下げていきます。
米ロ和平協議とウクライナの立場
ウクライナ不在の和平交渉への懸念
米国とロシアによる和平協議開始を受け、コルンスキー大使はウクライナの立場を明確に主張しています。大使は、ウクライナが交渉プロセスの中心に位置づけられ、その主権と領土保全が尊重されることが不可欠であると強調しました。また、欧州諸国の関与も重要視しており、多国間の枠組みでの交渉が不可欠であるとの見解を示しました。
ウクライナのコルスンスキー駐日大使(坂野一郎撮影)
和平交渉の行方は不透明であり、様々な思惑が交錯する中で、忍耐強く冷静な対応が必要だと大使は訴えています。国際政治アナリストの山田太郎氏(仮名)も、「ウクライナ抜きでの和平交渉は、真の解決には至らない可能性が高い」と指摘しており、大使の発言を裏付けています。
ウクライナが求める真の和平とは
コルンスキー大使は、ウクライナにとって真の和平とは、自国の利益を尊重した交渉、安全保障の確立、そして戦争犯罪人への責任追及であると明言しました。ロシアの侵略意図を鑑み、将来的な侵略を防ぐための安全保障体制の構築が不可欠であると強調しています。
破壊された建物の前を通るウクライナ東部ドネツク州ポクロウシク近郊の住民(共同、深井洋平撮影)
この点について、国際法専門家の佐藤花子氏(仮名)は、「国際社会による明確な責任追及と、ウクライナの安全保障体制強化が、持続的な和平実現の鍵となる」と述べています。
日本の支援と今後の期待
3年間の日本の支援への感謝
コルンスキー大使は、日本からの継続的な支援に深く感謝の意を表しました。米国、欧州に次ぐ支援規模に加え、日本国民からの温かい支援にも触れ、その重要性を強調しました。
ウクライナのコルスンスキー駐日大使(坂野一郎撮影)
日本の高度な技術と災害復興の経験は、今後のウクライナ復興において貴重な資産となると期待されており、経済、貿易、安全保障分野での協力強化にも期待が寄せられています。
ウクライナ復興への日本の貢献
大使は、日本がウクライナの復興に積極的に参加することを強く希望しています。日本の技術力と経験は、インフラ再建や経済復興に大きく貢献すると期待されています。
日本語を学ぶウクライナ人避難民(2024年2月、大分県別府市)
また、経済協力や貿易拡大を通じたウクライナ経済の活性化も期待されています。 日本企業の進出や投資促進は、ウクライナの復興と発展に大きく寄与するでしょう。
日本国民へのメッセージ
コルンスキー大使は、日本全国を訪問し、ウクライナの現状を訴えてきました。大学や地域施設での講演を通じて、紛争の真実を伝え、ウクライナへの理解と支援を呼びかけてきました。
空襲警報発令中にキーウの地下鉄駅で待機する市民(共同、深井洋平撮影)
ウクライナのコルスンスキー駐日大使(坂野一郎撮影)
大使は、日本国民一人ひとりの支援がウクライナの人々にとって大きな力になっていると感謝の意を表明し、今後も継続的な支援を呼びかけました。