中国初の無人機空母「四川」進水!その実力と戦略を読み解く

中国海軍が誇る最新鋭強襲揚陸艦「四川」が2022年12月27日、上海の滬東中華造船で進水式を迎えました。新華社通信や中国中央テレビなど国営メディアが大々的に報じたこの新型艦は、満載排水量5万トンと、多くの国の空母を凌駕する巨大さを誇ります。そして何より注目すべきは、世界初の無人機空母としてのポテンシャルを秘めている点です。

電磁式カタパルト搭載の意図

「四川」には、中国3隻目の空母「福建」にも搭載されている電磁式カタパルトとアレスティングギアが装備されています。電磁式カタパルトは、戦闘機を短距離で発艦させるための最新鋭技術であり、中国が独自開発に成功した象徴的な装備です。しかし、「四川」のカタパルトは「福建」のものより短く、有人戦闘機の発艦には適さないとの見方もあります。では、なぜ搭載されたのでしょうか?

中国海軍強襲揚陸艦「四川」の進水式中国海軍強襲揚陸艦「四川」の進水式

光明日報や香港の星島日報などの報道によると、「四川」のカタパルトは無人戦闘機(UCAV)の発艦を想定しているとのこと。攻撃11(GJ11)やCH7ステルス無人機といった中国国産UCAVの運用プラットフォームとしての役割が期待されています。軍事専門家(仮名:田中一郎氏)は、「有人機に比べて運用コストが低いUCAVを多数運用することで、中国海軍はより柔軟かつ効果的な作戦展開が可能になる」と分析しています。

強襲揚陸艦としての能力

「四川」は、兵員や車両、水陸両用装備などを輸送し、揚陸作戦を支援する強襲揚陸艦としての役割も担います。ヘリコプターの運用能力も備えており、海からの上陸作戦を強力にサポートすることが可能です。

アメリカの強襲揚陸艦との比較

アメリカ海軍も、アメリカ級やワスプ級といった強襲揚陸艦を運用しています。これらの艦はF35B戦闘機やMV22オスプレイ輸送機などを搭載し、軽空母としての役割も果たします。特にアメリカ級は、「四川」と同様に満載排水量が4万5000トンに達する大型艦であり、多数の航空機を搭載可能です。

アメリカ海軍強襲揚陸艦「アメリカ」アメリカ海軍強襲揚陸艦「アメリカ」

「四川」の登場は、中国海軍がアメリカ海軍の強襲揚陸艦運用を参考に、独自の進化を遂げていることを示唆しています。UCAV運用能力は、今後の海戦における新たな戦術の可能性を示すものであり、各国の海軍にとって大きな関心事となるでしょう。

中国海軍の新たな一手

「四川」の進水は、中国海軍の近代化と海洋進出戦略を象徴する出来事と言えるでしょう。無人機技術と強襲揚陸艦を組み合わせることで、中国は新たな軍事力投射能力を獲得し、海洋におけるプレゼンスをさらに高める可能性があります。今後の「四川」の動向、そして中国海軍の戦略に注目が集まります。