大阪・関西万博:経済効果3兆円の真相とは?中小企業にもチャンスはあるのか?

2025年大阪・関西万博。政府は3兆円近い経済効果を謳っていますが、その恩恵は本当に中小企業や地域にも届くのでしょうか?この記事では、大阪経済大学の下山朗教授の試算を元に、万博の経済効果の真実に迫り、中小企業がビジネスチャンスを掴むためのヒントを探ります。

万博の経済効果:巨額の数字の裏側

経済産業省は万博による経済効果を約2.9兆円と発表しました。大阪経済大学の下山教授の研究でも同様の数字が出ていますが、この莫大な金額はどのように算出されたのでしょうか?

下山教授によると、会場建設や運営、インフラ整備などに約7275億円、来場者の消費額を約8913億円と想定し、総額約1.6兆円が万博に投下されるとのこと。この金額を基に、産業連関表を用いて経済波及効果を算出しています。教授は、来場者の消費予想額を丁寧に算出することで、より現実に近い数値を導き出していると強調しています。

altalt大阪・関西万博会場のイメージ。経済効果は期待されるものの、その恩恵がどのように分配されるかが重要となる。

万博で儲かるのは誰?中小企業にもチャンスはあるか

建設業や観光業は直接的な恩恵を受けると考えられます。観光業には運輸、宿泊、飲食、リネン業なども含まれ、これらに関連する企業は規模に関わらず受注増加が見込めるでしょう。しかし、お土産などを除けば、製造業、特に町工場への恩恵は限定的かもしれません。

では、中小企業はどのように万博のビジネスチャンスを掴むことができるのでしょうか?下山教授は、万博協会や行政機関が、産業界や市民への情報提供を強化する必要性を指摘しています。

例えば、東大阪市、八尾市、堺市などの町工場が集積する地域では、外国人観光客を工場に招き、地元産品をアピールする動きがあります。しかし、万博協会や自治体は、来場者数の確保に注力するあまり、このような地域独自の取り組みへの支援が不足しているのが現状です。

万博の機運を高めるためには?

万博の機運がなかなか高まらない理由の一つとして、下山教授は情報発信の不足を挙げています。万博をビジネスチャンスに繋げる方法や、市民が果たせる役割について、万博協会や行政機関が積極的に情報提供を行うことが重要です。

altalt大阪経済大学の下山朗教授。万博の経済効果の分配と地域活性化の重要性を語る。

具体的には、外国人観光客向けの工場見学ツアーの企画や、地元産品のPRなど、地域経済を活性化させるための具体的な施策が必要です。また、中小企業が持つ技術や製品を世界に発信する場としての活用も検討すべきでしょう。

万博の成功は、大企業だけでなく、中小企業や地域社会全体が恩恵を受けられるかどうかにかかっています。関係機関の積極的な情報発信と、地域独自の取り組みへの支援が、万博の真の成功へと繋がる鍵となるでしょう。