ソウルの米大使公邸への親北・反米学生集団の乱入(10月18日)は衝撃的だった。白昼、公邸の塀に堂々とハシゴをかけ、それをよじ登って男女17人の学生が公邸内に飛び降り、家屋に侵入して反米スローガンを叫んだのだ。あれは近ごろの国際情勢からいえば一種のテロである。
とくに世界各地で「テロとの戦い」に全力を挙げている米国はこの種の出来事には敏感だ。時と場合によっては射殺されてもおかしくないほどの重大事件なのに、韓国当局は17人のうち4人だけを正式逮捕し残りは釈放してしまった。7月22日、釜山・日本総領事館に乱入した親北学生7人も全員身柄は釈放されている。
米政府は当然、厳重抗議したが、韓国当局の対応は実に甘い。世論もまた外国公館へのこうした非礼あるいは“脅威”の深刻性に鈍感だ。日本大使館、総領事館前の不法な慰安婦像放置もその延長線上にある。愛国・民族主義といった言い分なら何でも許されるみたいな国内感覚のせいだ。これじゃ国際的には不法放置の“テロ放置国家”とみられてもおかしくない。
これまでは「反日無罪」が横行していたが、それが文在寅政権下では「反米無罪」にまで広がりつつある? 断固たる法治で国の威信を早く取り戻してほしい。(黒田勝弘)