米国のトランプ大統領が3日に対ウクライナ軍事支援の停止を命じたことを受け、ロシアの侵攻を受けるウクライナを共に支えてきた欧州からは、防衛費増の必要性を訴える声や、急な決定に困惑する声が上がっている。
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は4日の記者会見で「私たちは再軍備の時代に入った」と言明した。欧州の防衛産業を強化するため8000億ユーロ(約125兆円)を充当すると発表。加盟国に1500億ユーロを融資して防衛産業への投資を促すという。
フォンデアライエン氏は「防衛費を大幅に引き上げなければならないことに疑問の余地はない。持続可能な平和は、強さの上にのみ成り立つ」と訴えた。
欧州は当面、米国抜きでウクライナ支援に取り組む必要性に迫られる。米国は欧州防衛への関与にも消極的なため、欧州諸国は自国の防衛強化も急務となっている。
チェコのフィアラ首相は「私たちの安全保障がウクライナ支援を強化することにつながる」とX(ツイッター)に投稿した。フランスのロンバール経済・財務相も防衛費増額を「速やかにすべきだ」との認識を示した。
一方、ポーランド外務省の報道官は4日、米国の支援停止決定について「北大西洋条約機構(NATO)加盟国に何の相談も情報もなかった」と非難した。【ベルリン五十嵐朋子】