漫画家として活躍する倉田真由美さんが、昨年膵臓がんのため56歳で亡くなった夫・叶井俊太郎さんとの最期の日々、そしてその思いを語りました。
抗がん剤を使わず、最期まで自分らしく生きた夫
2023年10月、倉田さんは夫の叶井さんが膵臓がんを患っていることを公表しました。余命半年と宣告された叶井さんは、抗がん剤治療を受けずに闘病生活を送ることを決意。倉田さんはその1年9ヶ月にわたる闘病生活を支え、その記録を「抗がん剤を使わなかった夫~すい臓がんと歩んだ最期の日々」という著書にまとめました。
倉田真由美さんと生前の叶井俊太郎さんの夫婦2ショット
同じような選択をした人の経験談が少ないことから、倉田さんは自身の経験を共有することで、同じ状況にある人々に情報を届けたいという思いで執筆を決意したそうです。「こういう選択をした人がいる、という事実を知ってほしい」と語っています。
がんとの闘いと、家族との別れ
叶井さんは亡くなる直前まで、驚くほど元気だったといいます。前日にも自分でシャワーを浴び、髭を剃り、散歩にも出かけていたそうです。倉田さんは、がんという病気の残酷さを痛感する一方で、家族としっかりとお別れをする時間を与えてくれる側面もあると感じたそうです。
経済評論家の森永卓郎さんも、同じように亡くなる直前まで元気だったという話を倉田さんはしており、病状の進行の仕方は人それぞれであることを改めて感じさせられます。
娘への思い、そして遺産
叶井さんは、残された娘のことを倉田さんに託していたといいます。よくあるような、残される家族への心残りといった言葉はなく、「あとはお前さん、何とか頼むよ」とだけ伝えたそうです。
そして、遺産についても倉田さんは赤裸々に語っています。口座には20万円ほど残っていたものの、その月に十数万円の引き落としがあり、住民税の方が高かったとユーモアを交えて話しました。「きれいに残さなかったですね」という言葉からは、叶井さんの生き様と、倉田さんの深い愛情が感じられます。
倉田さんの力強いメッセージ
倉田さんの著書は、がんと闘う本人だけでなく、その家族にとっても貴重な情報源となるでしょう。また、人生の最期をどのように生きるか、ということを考えさせられる一冊となっています。